林浩平の《饒舌三昧》

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zoom RSS 高見順賞、今年は斎藤恵美子さんの『空閑風景』でした+ELPシンポご案内

<<   作成日時 : 2017/03/20 01:07   >>

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 あすひらく 色となりけり 山桜    (坂内 文應)

 新潟は加茂市の古刹・雙璧寺の住持でもある文應さん、お寺の周囲は緑が深く自然の息吹が感じられ易い環境にお住まいですから、こんな句もさらりとできるのでしょう。先日のメールには「まだ雪が残ります」とありましたが、桜の芽もだいぶ膨らんでいるのでは。

 さて3月なかばは、毎年恒例の、現代詩の世界では最も権威があるとされる高見順賞の授賞式が開かれます。今回の第47回の受賞詩集は、斎藤恵美子さんの『空閑風景』(思潮社)でした。斎藤さんとは面識はないのですが、僕のところにもきちんと自筆署名入りでご本を贈ってくださったので、拝読していました。いや、これは素晴らしい詩集、名作ですよ。会場の飯田橋のホテル・エドモントにお祝いに参上しました。
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 先ず高見順文学振興会の理事長である吉増剛造さんの御挨拶から始まりました。吉増さん、他にも三田文学会理事長も務められていますが、こういう役職も、文壇詩壇では年長者となったご自身のお役目と身軽に引き受けられているのは、ありがたいことです。そして会を活気あるものにしようと努められてますからご立派なことと思います。78歳には見えないお若いネクタイ姿です。続いて、作家で近代文学館の館長(理事長)である坂上弘さんがスピーチされて、高見順が開設のために努力した駒場の日本近代文学館が、今年で開館50周年を迎えるにちなんでのお話をされました。情理を尽くした素敵なスピーチです。高見順の蔵書目録に、吉増さんの第一詩集『出発』がちゃんとある、というお話は強く印象に残りました。

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続いて選考委員の紹介です。任期は5年で、古参の順に座ってられますね。右から、野村喜和夫・堀江敏幸・天沢退二郎・高橋睦郎・伊藤比呂美の諸氏です。新任の比呂美さんが、選考経過の報告を務めますが、「あたし、こういのってニガテなんすよね」と比呂美さんらしい発言(笑)。僕は比呂美さんよりは一歳上ですが、24歳で知り合ってますから、なんとなく同窓生の気分です。(僕の結婚時の東京でのお披露目パーティーは、比呂美さんが主催してくれました。渋谷の桜丘のお店でしたね。)「浩平サン、変わんないわね。若いじゃん」、はは、努力してます(笑)。比呂美さん、去年に夫君を亡くしましたが、アメリカと日本を行き来して活動活発です。

 最終選考には、富岡悦子さんの『ベルリン詩篇』とジェフリー・アングルスさんの『わたしの日付変更線』と斎藤さん、その三つが残ったそうですが、前者二冊も僕は頂戴して、それぞれにお礼のメールを出しています。どれも力作なのは間違いありません。でも『空閑風景』、これはちょっと別格ではないでしょうか。選考委員の見識に敬意を表します。

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 授賞式、続いて賞の贈呈と、杉本真維子さんの祝辞(これがなんとも哲学的な詩論でした)、受賞者あいさつ、そして花束贈呈と来て、シャンパンでの乾杯の音頭は、先日新潮社から大作小説『名誉と恍惚』を刊行されたばかりの松浦寿輝さんです。(松浦さんとおしゃべりした際に、「あの本の定価が5400円なんですよ。いまの学生には買えませんね」とボヤイてました。はい、大学の図書館に申し込んであります(笑)。)さあここからは歓談タイム。だいたい詩人の皆さんとは、年に一度か二度、こうした授賞式で会うのがお決まりですね。しかし、どこでもここでもお話が弾むと見えて、飲みながら食べながら笑顔が絶えませんね。

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 受賞者の斎藤恵美子さんを囲んで、北爪満喜さん、川口晴美さん、水嶋きょうこさんが祝福されてます。はい、一枚、パチリ、です(笑)。

 藤井貞和さんと佐々木幹郎さんが熱心にお話しているので、うかがうと、幹郎さんがずっと代表理事を務めた「中原中也の会」の今度の五月例会に、貞和さんがゲストで登場とのこと、神奈川近文が会場ですね、それはぜひ聴講に参じます。貞和さんと中也、うーん、どういう展開でしょうか。

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 吉増さんと文憲さんがリラックスした表情で談笑されてます。小池昌代さんと阿部日奈子さん、建畠晢さんと川口晴美さんも楽しそうです。僕は、財部鳥子さんとの2Sを撮ってもらいました。名残惜しいですが、いよいよお開です。

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 閉会の挨拶は、高見順文学振興会の専務理事である佐々木幹郎さん。いやあ、幹郎さんのスピーチは、ユーモアがあって毎回名調子ですよ。楽しくクロージングでした。その後は斎藤恵美子さんを囲む二次会に参加して、たくさんお酒を飲んでいました。また来年、ですね。

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 ガラリと話題は変わります。ご覧いただいた画像は、プログレッシヴロックのバンド、エマーソン、レイク&パーマー、通称はELPです。アルバム「タルカス」や「展覧会の絵」で日本でも大人気だったのは周知の通り。そのメンバーのキーボードのキース・エマーソンが、昨年の3月にピストルで自殺してしまい、そこに追い打ちをかけるように、昨年12月にはベース&ヴォーカルのグレッグ・レイクが病死しました。残るのはドラムスのカール・パーマーひとりという寂しい状況。このELPをめぐるシンポジウムというのが、川崎のクラブ・チッタで開催され、僕はなんとゲストコメンテーターで呼んでもらっています。詩人ではなくてロック評論家としての仕事ですね(笑)。チラシも出来ましたよ。

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 4月9日(日)の19時からです。生演奏もあるそうです。ロックに関心のあるかたはチェックください。

 お別れの引用句、斎藤恵美子さんの詩行を紹介しましょう。そのスタイルがよくうかがえるパートだと思います。

「跡が消された跡、のような、道筋をたどり終え
 函より軽い部屋の闇へ
 みずからを消し、風を通した
 部屋と世界が、触れあえぬまま重なるときの、余剰部分
 そこで、外被から朽ちるとして、最後に
 わたくしに、何がひかるか

 (略)

 この世へ、落剝されまいと、張り詰めている真円の、月のように
 誰かへ向かって、この身をしんしんと注ぎたい」

                                   (斎藤 恵美子 詩篇「孤影」  『空閑風景』より)

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