林浩平の《饒舌三昧》

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zoom RSS 石川九楊さんの書作品、飾りました+吉増剛造さん「火の刺繍」展IN札幌、案内が届きます

<<   作成日時 : 2017/05/15 01:57   >>

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 万緑を 顧みるべし 山毛欅(ぶな)峠     (石田 波卿)

 波卿の「自句自解」によると、これは昭和18年の5月に奥武蔵に出かけて山毛欅峠というところから眺めた風景を詠んだものといいます。「深緑の怒涛のやうに起伏する爽大な風景に肝をうばはれた」とあるのは、まさにその通りでしょう。ちょうどいまくらいの季節ですね。ブナの林、画像で紹介しておきます。

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 さて、出演しました「放送大学」特別講義の「文人精神の系譜ー与謝蕪村から吉増剛造まで」、その後も、録画してあったのをご覧になっての感想がほうぼうから頂戴しています。ありがたいですね、「続編を期待します」という声は特に嬉しいです(笑)。

 で、文人を気取って、というわけではないつもりですが、我が家のリビングの壁面を用いて、季節ごとに掛け軸を掛け替えています。この四月から掛けているのが、この観音さまの絵です。

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 いかがでしょう、なかなか良い絵でしょう?右端に署名と落款があります。「華」の下の文字が判然としないので、軸を入れた木箱で確認をすると、「華邨筆観音図」と記されてました。これ、それこそ文人趣味のあった曾祖父が購入したのでしょう、ずっと田舎の家に保管されて、昔から時々床の間に掛けられていました。

 華邨というので、ネットで検索してみたところ、おやおやおや、これは鈴木華邨(かそん)、安政7年(1860年)に生まれて大正8年(1919年)に亡くなっている日本画家で、明治期にはかなり活躍したひとのようです。へえ、こりゃあめっけもの(笑)。ふうん、阪急電鉄の創始者の小林一三が贔屓にしたので、一三のコレクションを展示した逸翁美術館にかなりの作が集められているとか。いや、そう思って見直すと、やっぱり良い絵です(笑)。

 さて、このリビング空間に、今度新しい作品がデビューしましたので、見てやってください。書家の石川九楊さんの作です。柳澤紀子さんの版画作品のお隣に掛けてみました。オーディオ装置などがチラ見えしてますが、悪しからず。

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 九楊作品、ほとんど抽象画のような造形ですが、これは万葉集のとても有名な短歌を書いたものです。さて目を凝らして読めるでしょうか。はい、柿本人麻呂が作者です。「東(ひんがし)の野にかぎろひの立つ見えてかへり見すれば月かたぶきぬ」、この歌ですね。この歌の原文は万葉仮名でこうでした。「東野炎立所見而反見為者月西渡」。ラストの「月西渡」の三文字などは、九楊さんの作からもわかります。いや、この一画が緊張感を持ったようです。しばし、ながめておりました。

 九楊さん、7月5日(水)から7月30日(日)まで、上野の森美術館で、最初の回顧展になりますね、「書だ!石川九楊展」が開催されます。新作の大作も準備中とか。こちらもおおいに楽しみです。そうそう、それに関連して、「文學界」の次号では、九楊さんと吉増剛造さんとの対談が掲載されるよし。もう何度目かの対話ですが、さあどんな展開になりますか。

 その吉増剛造さんの個展が、目下札幌のギャラリーのTEMPORARY SPACEで開催中です。案内の大判のDMを頂戴しました。紹介しましょう。これも吉増作品ですよ。

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 吉増さんはまた、8月6日からスタートする札幌芸術祭に特別ゲストで招待され、かなりの数の作品展示もされるよし、はい、僕も久しぶりの札幌に伺う予定です。詳しく報告しましょう。

 お別れの引用句、鋭い文明批評家としての九楊さんの言葉を引きましょう。「文人」に関係してこんなくだりが読めます。

「中国に「詩書画三絶」という言葉がある。(略)「詩書画三絶」においては、詩も書も画もいずれも言葉=文字が前提とされている。(略)ここでは「かく」という表現が共通している。そのような「かき手」が「文人」と呼ばれたのだ。」
                               (石川 九楊  『筆蝕󠄀の構造ー書くことの現象学』より)

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