林浩平の《饒舌三昧》

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zoom RSS 勅使川原三郎ダンス「静か」、画期的な試みです+「四季派学会」、高橋順子さんが丸山薫の詩についての講演

<<   作成日時 : 2017/07/02 01:51   >>

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 そこにただ ゐるが頼もし 蟇(ひきがえる)    (松本 邦吉)

 いよいよ待望の初句集『かりぬひ抄』を刊行された松本邦吉さん、さっそくそこから夏の句を紹介しましょう。一読、明快な句ですね。ヒキガエルですが、しかしこのところ、虫やカエルの姿を見かける機会がめっきり減った印象があります。頼もしいヒキ君に久々に会ってみたいです(笑)。

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 コンテンポラリーダンスの勅使川原三郎さん、相変わらずの精力的な仕事ぶりですが、佐東利穂子さんとのデュオで昨年に披露した「静か」を再演しています。荻窪南口のすずらん通りにあるスタジオKARASアパラタスを訪ねてきました。(毎度ご招待ありがとうございます。)

 このダンス作品、とにかく音楽もノイズも効果音も、いっさい使わずにダンサーふたりが60分を踊るのですね。昨年の初演をここで観て、そしてその展開した舞台をシアターχ(カイ)で観ました。今回さらにアップデイトしたかたちで、ニューヴァージョンでのお目見えです。

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 ご覧ください、KARASのHPの画像を引用しました。こんなステージです。今回の副題として、「echo of silence」という英語表記が加わっています。無音の舞台、ではあるものの、まさに「静寂の反響」とでもいうべき、劇場空間全体の沈黙の響きがそこにはあって、ふたりのダンサーは、それに耳を澄ませながらの身体パフォーマンスを続けるのでしょう。いやあ画期的なダンス表現の試みですよ。

 終演後に勅使川原さんにご挨拶、「これ、インプロビゼーションは?」とうかがうと、「まあ少しはありますけどね」とのことですが、随所にふたりのアンサンブルが関わるので、当然に決めごとたくさん、でしょう。この公演、まだ4日まで毎日やっています。どうぞご覧くださいな。

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勅使川原さんの次回の東京芸術劇場での新作公演の案内がすでに出来ていました。この写真が使われていますね、『月に吠える』です。そう、詩人の萩原朔太郎の詩集の世界をダンスで表現しようという試みとか。詩集刊行100年記念が謳われています。これは興味深いです。「僕も朔太郎研究者の端くれですので、宣伝に努めますよ」というわけで、チラシも預かりました。8月24日から27日までの上演です。こちらもどうぞよろしく。

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 さて次の話題です。その朔太郎をはじめとして昭和初期の詩人たちを研究する学会、「四季派学会」の夏季大会が、先日僕の勤務する恵泉女学園大学で行われました。(昨年の冬季大会のことも、このブログでレポートしましたね、ゲストの詩人の稲川方人さんが、「四季」派の詩人の叙情の世界が、昭和歌謡にいかに密接に受け継がれていくかをお話しくださった次第でしたが。)

 今回の最初の研究発表は、武蔵大学の院生の小橋龍人さんが、それこそ朔太郎における古今集和歌の受容の問題について報告してくれました。続いては、大月短大の渡邊浩史さんが、作家の中谷孝雄が、実は「四季」の詩人らと深い交友があり、三好達治が選者だった「四季」の投稿欄で、三好に代わって選を行ったこともある、なんていう興味深い話から、中谷の小説「春」の世界の分析に進みます。

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 そして休憩の後は、今回のゲスト詩人の高橋順子さんが、詩人の丸山薫の「海の詩」についての講演でした。丸山の「海」好きは有名です。高橋さんも詩集に『海まで』とか『海へ』があるのですから、海好きであるに違いはないのですが、しかし千葉県の海に面した飯岡町の出身の高橋さん、あの「3・11」の大津波で、ご実家が被災されて、一階部分が壊滅状態、貴重なアルバムなどもなくされたそうです。そんなお話や、夫君だった作家の車谷長吉さんの思い出話も交えての講演、なかなか味わい深いものでした。
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 もうひとつ蛇足までに、やはり恵泉での教室の模様をお伝えしましょう。これは、先日、僕が担当する「文芸創作」という授業に特別ゲストとして、現在おおいに活躍している詩人の文月悠光(ゆみ)さんをお招きした際のスナップです。文月さん、早稲田の教育学部を数年前に卒業しながら、先生になったり就職したりの道を選ばず、詩人のプロとして色んな仕事を引き受けながら暮らしているとのこと、いや大したプロフェッショナルぶりですよ。

 この日は、受講生の書いてきた詩編にアドバイスをくださり、さらにはご自身の近作詩編を朗読して紹介くださったり、また僕からのあれこれの質問に答えてくださったり、でした。さあ、ゼミ生がデジカメでその風景を撮ってくれましたので、ご覧ください。はい、26歳と、62歳の2ショット、というのもございます(笑)。

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 そして最後は、受講生らと一緒に、文月悠光さんを囲んでの記念撮影でした。「はい、チーズ」です。

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 お別れの引用句、今日は、では朔太郎から、と行きましょう。

「おれはいまでも、お前のことを思つてゐるのだ。」

                     (萩原 朔太郎    「山に登る」 詩集『月に吠える』より)

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