林浩平の《饒舌三昧》

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zoom RSS ミュゼ浜口陽三、千一億光年トンネルはユニークな企画展です

<<   作成日時 : 2017/07/21 02:30   >>

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 あさがほの 浴衣はたちと なりにけり     (松本 邦吉)

 詩人の松本さんの句集『かりぬひ抄』からです。これ、お嬢さんですね(笑)、朝顔柄の浴衣が似合う二十歳の愛娘を詠みましたか。このお嬢さんとは一度だけ、世田谷パブリックシアターでしたが、野村萬斎さんが企画した3・11救援の詩の朗読会で、松本さんの詩を役者さんが朗読した際にお会いしました。僕が詩の選定役でしたので。松本さん、「娘は林サンの詩のファンなんですよ(笑)」とか、それは良いお嬢さんです(笑)。もう立派になられたでしょう。

 さあ梅雨が明けました。真夏です。我が家のリビングの掛け軸の絵も、夏仕様に替えましょう。

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 箱書きには、「軒端涼風」とあります。ふーん。しかし絵師の名前が、うーん、読めません。これも曾祖父のコレクションでしょう。ちょっとコワそうな鮎ですが(笑)、涼気を誘います。

 さて現在、日本橋蛎殻町は水天宮のそばにある美術館「ミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクション」ではユニークな企画展を開催しています。(8月6日まで。)名づけて、「千一億光年トンネル」、世代の違う、それぞれ個性的なスタイルの3組のアーティストの作品が展示されています。訪ねてきました。

 一階フロアには、この美術館の主人公?たる版画家の浜口陽三の代表的なメゾチント作品が展示されます。しかし浜口作品も今回の企画展を構成するもの。英語タイトルは、100100000000 LIGHT−YEAR TUNNEL、このイメージを被せると、浜口作品の地の黒が、なんだか無限に広がる空間を暗示するようです。

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 地下の展示フロアに降りましょう。この展示空間、以前に福田尚代さんの出展があった際に、福田さん、このあたりは太古は海の底で、地層からはアンモナイトの化石が見つかったとかということに言及していたのを思い出します。無限に続くトンネルという今回の企画展のモチーフにも、ここはピッタリなのでは。

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 これは奥村綱雄(1962年生まれ)の「夜警の刺繍 ブックカバー」という作品です。ブックカバーサイズの刺繍作品なのですが、面白いのは、タイトルにあるように、作家はこの刺繍を文字通り夜警の仕事を行いながら深夜の守衛室で作っている、というところですね。とにかく刺繍は根気のいる作業らしく、ひとつの作品に一年ほどかかるとか。作家は、このコンセプトのために夜警の仕事を選んだそうです。まったくの概念美術ですよ。刺繍の道具と、守衛室にいる自像も展示されています。

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 それから、Nerhol(ネルホル)というユニット名で活動するふたり、デザインが専門の田中義久と、彫刻の飯田竜太の作品「multiple―roadside tree」です。これ、どうなっているかわかりますか。

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 素材は、インクジェット紙、つまり「街路樹を少しずつ輪切りにして連続した写真を時系列に印刷し、紙束にしたものを素材」としてカッターで彫刻したのがこれ、だそうです。うーん、「可視化されうる物質的痕跡としての記憶を描き出す」のが狙いとか。いや、最初は木の皮自体を展示したのかと見えました。これも手わざの効いたコンセプチュアル・アートです。

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 さて最後はうんと若い女性アーティスト水戸部七絵の「Depth」シリーズです。これ、材料は大量の油絵具。

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 なんと数百本の油彩絵具を使ったよし、これはインパクトありますね。「あくまで平面絵画として制作」するというけれども、この物質感覚の過剰さは完全にコンセプチュアルアート、やるな、です。さらにご覧あれ。

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 というわけで、地下フロア、この3組のアーティストの競演です。点数は限られているものの、骨太の現代アートに触れることが出来ました。ここの企画展は年に一度のみ、ですが、毎回刺激的、次回にも期待しましょう。

 お別れの引用句、久しぶりにベンヤミンの箴言から、としましょう。

「霊感が途切れたら、できあがったところまでを浄書したりなどして間をつなぐことである。直観は、そうするうちに目ざめてくるだろう。」
                                (ヴァルター・ベンヤミン   『一方通行路』)

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