林浩平の《饒舌三昧》

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zoom RSS 横浜トリエンナーレのオープニング+高志の国文学館で瀧口修造トークをします

<<   作成日時 : 2017/08/07 17:00   >>

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 是是非非もなき氷旗 かかげある     (小澤 實)

 猛暑の炎天下に「かき氷あります」の旗をかかげた茶店を見つけた、というのでしょう。いいも悪いもありません(笑)、こんなときは店にかけこんで氷を注文するしかないでしょう。真夏の景を詠み、どこか昭和の印象です。

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 第六回を迎える横浜トリエンナーレのオープニングが、8月3日にありました。今回のテーマは「島と星座とガラパゴス」、?、ヘンなタイトルですが、コミュニケーションツールの急速な発達によって世界の島宇宙化が進んでいる今日、現代アーティストたちは世界にどう向き合っているか、「接続性」と「孤立」をキーワードにして、企画されたそうです。横浜美術館の逢坂理恵子館長たちがディレクターです。

 うーん、ガラパゴスというのでオオガメのオブジェが迎えるのでしょう(笑)。近年では古い携帯電話は「ガラ系」、つまりガラパゴス化の典型例となりましたが、僕など今でもそちら派で、スマホは敢えて所持しません。しかし、タイトル、やっぱりヘンじゃないでしょうか、だって「ガラパゴス」はすでに「島」ですよ。屁理屈ではありません。(今回の横トリに、「異議アリ」です。)ともあれ、正面エントランスで迎えるのは、中国のアイ・ウェイウェイのライフジャケットとボートのインスタレーション、ストレートに「難民」が主題です。

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今回は、特にオープニングセレモニーというのはなくて、入場者は順次鑑賞してゆきます。エントランスを入ってグランドギャラリーには、どおーんとデカい竹の造形物が。これはインドネシアのジョコ・アヴィアントという作家のしめ縄をモチーフにした作品だそうです。出展の作家たち、60年代や70年代生まれが多くて、80年代生まれもいます。カワイイ少女たちが、アニメやゲームキャラクターのタッチで描かれてますが、これは人気アーティストのミスターのブースです。そしてモロモロ。欧米作家らに混じって、アジア生れの作家が多いですね。どうも作家名にはまるで馴染みがありません。

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 なにやらザワザワした印象の展示が続くなかで、思わずピンと背筋を伸ばして鑑賞したのは、このふたりでした。鉛筆画の木下晋(すすむ)、そして陸前高田市生れで、被災地の郷里を撮った畠山直哉、彼らのブースは見応え十分です。木下晋さんは1947年生れでしたか、もっと高齢かと思ってました。というのも洲之内徹の『気まぐれ美術館』でその存在を知ったからですが、鉛筆画の実物を観るのは初めて。大画面、これは粛然となりました。また畠山氏のは写真集で知っていましたが、実際のパネル展示はやはりリアルです。震災後の爪痕が生々しく残る風景のなかで、お年寄りたちがゲートボールに興じているのを撮っています。

 その他の展示風景もざっとスナップで紹介しましょう。

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 今回は約40組のアーティストが参加しましたが、横浜美術館では30の、残りは赤レンガ倉庫1号館での展示というので、そちらまで送迎バスが出ています。この3階フロア、時々コンテンポラリーダンスの公演があるのでお馴染みのスペースですが、今回は展示のための空間です。なかでドイツのアーティストですが、クリスチャン・ヤンコフスキーという作家が、「身体と公共彫刻の関係性」を主題とした作品を出していて、注目しました。重量挙げのポーランド代表選手がワルシャワ市内の歴史的人物の彫像(元アメリカ大統領のレーガンのです!)を持ち上げようとする、このコンセプトは笑えます。

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 しかし、今回の展示の印象、なんとなく現代アートの世界自体が「匿名化」と「小粒化」へと歯止めなく突き進んでいるようで、面白いとは言えません。肥大化した情報社会から潔く孤絶して、内的な必然性に貫かれた作品に向き合うアーティストこそが待望されるのでは、と思います。出口で一枚、まあ記念スナップを残します。

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 さてここで、ちょっとPRさせてください。この9月2日(土)です、富山県立の高志(こし)の国文学館で、ご当地出身の瀧口修造についての講演をすることになりました。瀧口とは縁の深い、富山県立近代美術館が、老朽化?とかで場所を変えて建て替えられ、今月下旬に、富山県美術館としてリスタートすることになったそうですが、それとの関連企画として「詩人瀧口修造」についてトークするようにお誘いを頂きました。これはありがたいことです。

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 県立近代美術館が創立された際には、瀧口に館長就任の要請があったのに固辞された、というのはよく知られた逸話です。でも近美、造形作家としての瀧口作品はかなり収蔵していますし、2001年の夏にはここで「瀧口修造の造形的実験」展が開催されて、僕も友人の美術史家の林道郎さんや瀧口作品のコレクターの土淵信彦さんらと富山を訪ねたものでした。(帰りの列車では岡崎和郎さんとご一緒してお酒を酌み交わしながら愉快でした。)富山の街はそれ以来ですね。ちょうどこの日は、かの有名な「おわら風の盆」の当日、瀧口トークの後は、この貴重な民俗行事に触れてきましょう。

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 お別れの「折々の引用句」は瀧口で行きましょう。

「誰か? まずは物を言え、透明よ!」
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コメント(2件)

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久しぶりにコメントします。

富山県立近代美術館が再開されるとのこと、北陸に足を向ける理由が一つ増えます。

瀧口の詩を題材に講演とは暑い夏に準備が大変では?

講演録が仕上がりましたら、是非ともコピーを1部賜りますようにお願いします。

この夏、和歌山に帰省されるのでしたら、和歌山市立博物館にお寄りになりますように。
http://www.wakayama-city-museum.jp/exhibition-now.html
熊鷹
2017/08/08 08:43
これはこれは「熊鷹」さま、久々のコメントをありがとうございます。瀧口修造についての講演、資料プリントとパワーポイント作成にかかっています。小生すでに数本の瀧口論を書いてますのでネタは大丈夫です(笑)。講演録のこと、了解です。そして和歌山市立博物館、はい、何度か訪ねています、市駅のすぐそばですね。目下、遺跡探索はわがマイブームですので、今月の和歌山市滞在では大谷古墳を訪ねる計画です。この博物館で関連資料の展示も見てきましょう。それからこれは帰ってから詳細レポートを行いますが、小生の本籍地である御坊市名田町野島のすぐ近所に、なんとあの有間皇子が被葬者か、と現在学界でも話題になっているという岩内古墳群、というのがあるのですね、うかつなことに、この春それを初めて知りました。そばのビジネスホテルに二泊してこの近辺を探索してきます。なにしろ祖父と祖母が健在だった小学生時代には、毎夏休みのほとんどをここで過ごして真黒になってました。そんなところが、旧石器時代から奈良時代にかけての遺跡の宝庫だったとは。これはわがルーツを検証しなくてはなりません。
ミニヨン
2017/08/08 11:22

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