林浩平の《饒舌三昧》

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zoom RSS 掛け軸を牡丹の絵に+吉増剛造さん、NADiffイベント最終回+『火ノ刺繍』誕生です

<<   作成日時 : 2018/05/14 01:16   >>

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 夕暮や 籬(まがき)はなれし 蝶一つ    (芝 不器男)

 春の夕暮れ時、垣根を離れてゆるく飛びはじめた蝶を詠みました。不器男の句は、愛媛県南部の山間の里を舞台にしますが、その風景はどれもユートピア性を帯びたもの。この句にもそんな永遠性が漂うのでは。

 さて、季節は春から初夏へ、です。今年の春は、みょうに薄ら寒い日が多くて閉口しましたが、牡丹のシーズンがやってきます。リビングの掛け軸を牡丹の絵に掛け替えましょう。

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 この掛け軸も、曾祖父が蒐集したものでしょう。草堂さんという絵師は何者か不明ですが、紀州和歌山近辺の文人画家?でしたか。風に吹かれる牡丹の花、まあそれなりの存在感があります。

 さて、この一年間、恵比寿にあるアートショップのNADiffで、吉増剛造さんが奥さまのマリリアさんらと定期的に続けてこられた剛造Organic Fukubukuro Orchestraのステージ、この11日が最後になりました。僕もだいたい参加して、このブログでレポートをしてきましたが、これでおしまい、となるとなにやら感慨もあります。

 さあ第一部は、いつものように、マリリアさんがギタリストの畠山祐介さん、それに映像作家の鈴井余位(よい)さんにWHITELIIGHTスタッフとともにつとめます。ちょうど日が落ちた19時からスタートです。

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 マリリアさんの作詞した楽曲のなかで、アップテンポの「FALLING」なんて、なかなか佳いですよ。リズムマシーンに畠山さんのアヴァンギャルドギターが絡んで、そのうえに何と言っても、余位さんの刺激的な映像が加わるところが面白いです。音響と映像のコラボする舞台、これはひとつの新しい様式でしょう。
 
 第一部が終わって、客席にはいつものように吉増さんお手製の草稿カラープリント(「怪物君」)が配られます。表と裏を御覧ください。

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 第二部は、ゲストに文化人類学者の今福龍太さんを迎えての吉増さんとのトーク、このふたりのコンビでのトークはもう何回目でしょうか。今福さんが主宰する奄美自由大学での思い出などが語られます。

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 会場に配られたモノクロの画像プリント、そこには吉増さんが龍太さんの著作に贈った推薦の言葉のほかに、龍太さんの学問上の師であった故山口昌男さんが、奄美の丸石に触れようとするスナップもあって、「ほほう」でした。最晩年の山口さん、杖を使ってたようですね。そして、龍太さんが奄美の古老から伝授されたという奄美の三味線、サンシンといって、蛇の皮を使った楽器ですが、それと昆虫採集が趣味という龍太さんの蝶のコレクションも披露されました。

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 おしまいは、マリリアさんも加わり、龍太さんのサンシンの演奏と吉増さんの「怪物君」制作パフォーマンスも協働して、吉増さんの詩篇「老詩人」が歌われていきます。なかなか感動的なエンディングでした。

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 この日、イベントの始まる3時間ほど前に、ようやく吉増さんの大著『火ノ刺繍』が誕生して、届けられたそうです。これは、ここ10数年の未発表エッセイと、近年の文章や対話が収められた、うんと分厚い一冊で、札幌の響文社からの刊行です。本来なら、昨年の足利での展覧会に間に合うように制作されるはずのものが、どんどんと増殖を始めて、いままで引っ張ってしまったそうです。吉増さんらしい、一冊誕生の経緯でしょう。お店に並べられた画像を御覧ください。

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 お別れは、吉増さんのかつての詩篇を引きましょう。これも激しいものが詰め込まれています。

「ボクワ地獄ヲ通過シナカッタ
 キミタチ精霊ノ子タチニ至急電ヲ送ル
 ミルクヲ飲ㇺヤウニ
 花ノ名前ヲ覚エルヤウニ
 (略)
 (ボクワ、詩ノ、ヘビ、デアリ、無数ノ傷ガ、アリ、何度モ、死ンダノデアル)」

              (吉増 剛造  「アドレナリン」 詩集『草書で書かれた、川』より)

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ながいながいご無沙汰(?)でした。いろいろ面白いお話などざーと見せていただきました。あとでまたゆっくり見せていただこうと思っています。ゴールデンウィークを外しての墓参りを兼ねての帰郷途、京都国立美の「池大雅展」と東京(板橋区立美)で見損ねていた「インドタラブックの世界を変える美しい絵本展」を刈谷市美術館で見てきましたよ。素晴らしかったです。おひざ元の町田市文学館はいつも訪ねているのですが、先の本の企画は面白かったですね。実はこの春から館主催の「こども俳句教室」の講師補助(?)をしています。明日は野津田公園で吟行です。
吉増剛三展は渋谷区立松濤美術館に行く予定です。今度から覗くようにいたします。よい情報をよろしくお願いいたします。
あけみ・る
2018/05/18 13:02
「あけみ・る」さま、久々のコメントをありがとうございます。池大雅展を御覧になりましたか、それは結構でした。実は僕も金曜日に京都を訪ねて、大雅展をじっくりと観てきたところですので、このあとにそのレポートをするつもりです。とにかく見応えのある展覧会です、2時間半以上をかけて鑑賞していました。これが関東の美術館に巡回に来ないというのは、残念な限り。もう一回観に行きたいくらいですが、おっと今日まで、ですね。また松濤美術館での吉増剛造展、8月11日から9月24日までです、どうぞご期待ください。
ミニヨン
2018/05/20 15:36

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