リヒターのドローイング展は六本木+Complex665では鈴木理策、米田知子、菅木志雄、どれもいいです+小松美羽展…

 枕文字 五(いつ)に悩みて 明易き    (高橋 睦郎)  睦郎さんの『百枕』の七月篇「枕文字」から。季語は「明易き」で夏です。枕にまつわる語彙を並べてテーマとした『百枕』、「枕文字」とは、俳句定型五七五音の最初の五文字を言います。七五は出来たのに、最初の五文字にどうも良いフレーズが出てこない。それに悩んで、とうとう夏の夜空…
コメント:2

続きを読むread more

久万美術館の企画展、「怪物 佐藤渓」には注目ください、凄い!+映像作家の狩野志歩さんらの「Other Rooms」…

 プラタナス 夜(よ)もみどりなる 夏は来ぬ    (石田 波郷)  波郷の長男の修大(のぶお)氏の著書『わが父波郷』を読みました。日経新聞記者時代、父波郷の死亡記事を書く巡り合わせだった、という著者による、静かな筆致の名評伝です。もう25年ほど昔ですが、「俳句王国」というNHKのテレビ番組の特別編で、「愛媛俳人グラフィティ」…
コメント:0

続きを読むread more

吉増剛造さん、田端文士村記念館で「芥川龍之介への共感」展+書評研究会では『詩とは何か』が採りあげられました

 割りばしを わるしづこころ きうりもみ    (久保田 万太郎)  前回に続いて岩波文庫の『万太郎句集』からです。この句、呑み屋さんのカウンターに腰を下ろして、まず調理場から出された小皿のきゅうりもみに箸をつけよう、というところを詠んでいます。「しづこころ」がいいですね。さあこれからどんなおいしい酒の肴が出てくるかな、と期待…
コメント:0

続きを読むread more

吉増剛造さん、「残されるということ」、亡き若林奮さんとの連帯の記録展が足利で始まりました

 薄暮、微雨、而(しか)して 薔薇(さうび)しろきかな     (久保田 万太郎)  万太郎の句集が岩波文庫に入りましたね。そこで見つけました。佳い句です。「薄暮」の「ぼ」、「微雨」の「び」、「薔薇」の「び」と、ば行の音韻が印象的です。白いバラの花が、暖かい細かな雨に打たれている風景を目にする季節となりました。入梅も近いかな。…
コメント:0

続きを読むread more

柳澤紀子さん新作版画作品展、すばらしい!+アーティゾン美術館では柴田敏雄と鈴木理策展、こちらも見ごたえ十分です

をさなくて 昼寝の国の 人となる      (田中 裕明)  季語は「昼寝」で夏ですね。幼い子どもが夏の暑い昼下がり、すぅーっと風が通る部屋の隅で薄い敷物に寝転んで、寝入っている様子が目に浮かぶようです。波多野爽波を師匠とした田中は、爽波の師である高浜虚子の正当な「ホトトギス」のDNAを引き継いでいました。俳句界での将来を嘱望…
コメント:4

続きを読むread more

篠田桃紅展、オペラシティ・ギャラリーで開催中です+吉増剛造さんの最新イベント情報です

 春雨や 頬かむりして 佃まで     (辻 征夫)  詩人の辻さんの俳句、『俳諧辻詩集』から、です。このあとに続く詩行は、最後の「折々の引用句」に譲ります。辻さん、少年時代にはお父さんの仕事の関係で、島嶼(伊豆諸島)で暮らしたこともあるそうですが、メンタリティーは「江戸っ子」でした。それはこの句にもよく現われていますね。 …
コメント:0

続きを読むread more

板橋区立美術館では建部凌岱展、面白かったです+神奈川近代文学館の吉田健一展、見どころ多し、です

 永き日や 指の欠けたる 思惟(しゆい)佛    (安東 次男)  あんつぐさんの代表句のひとつ、でしょう。改めて佳句だな、と思います。これ、昭和35年に起きた、広隆寺の半跏思惟の弥勒菩薩像、その美しさに惚れ込んだ京大生によって、右手の薬指が折られる、という事件に取材した作ですね。当時僕は六歳でしたが、しばらくしてからと思いま…
コメント:0

続きを読むread more

松岡美術館、なかなかの充実ぶりです。伝周文の水墨画が目玉ですが、ガンダーラやインド、中国の仏教彫刻が面白かったです。

 鳩踏む地 かたくすこやか 聖五月     (平畑 静踏)  まだ五月ではないのですが、この句に惹かれたので紹介します。自句自解によると、「五月は聖母マリアにささげる月」だとか。和歌山市の和歌浦に生まれた静踏、京大で精神医学を学んだ医者でしたが、カソリックの信仰がありました。「私の宗教俳句はすべてをすてて、この一句だけをのこし…
コメント:0

続きを読むread more

庭園美術館では「奇想のモード」展、ここならやってくれそうな企画展です+アーティゾン美術館、「1952ー2022」の…

 地下に入(い)る 須臾(しゅゆ)に車窓の 春惜しむ  (辻 征夫)  詩人の辻征夫さん、俳句がお好きで、小沢信男さんや清水哲男さん、井川博年さんらとよく句会を開いていました。俳号は「貨物船」です。詩集『俳諧辻詩集』は、一篇の詩に俳句が一句か二句、混じっています。これは「車窓」という詩から採りました。都内の地下鉄でも、丸ノ内線…
コメント:4

続きを読むread more

ミュゼ浜口陽三では、「浜口陽三、ブルーノ・マトンーーひとつ先の扉」展を開催中、「絵と言葉のかくれんぼ」コーナーがた…

 湖の 島に人ゐる 春のくれ    (小澤 實)  小澤さんの第一句集『砧』からです。1986年の刊行ですから、もう36年も前のこと。湖、琵琶湖のような大きなところ、というより、もっとこじんまりとした湖を想定するのがよいでしょう。ですから、島も小さな島。何戸かの集落があって、住んでいる人が、こちらの舟を見ている、それが春の夕暮…
コメント:0

続きを読むread more

DIC川村記念美術館では「カラーフィールド 色の海を泳ぐ」展、内覧会に行きました。良いですよ。

木の間とぶ 雲のはやさや 春浅き     (三好 達治)  春三月、暖かくなってきました。詩人の三好達治は、晩年、「俺は俳人になったらよかったかな」と呟いたことがあるそうです。親友だった作家の石川淳の証言。ただ三好の詠みぶり、プロの俳人というには素直です。この句と同じ時の作でしょう、こういう句もあります。「一天の雲ゆきつくす峡…
コメント:0

続きを読むread more

MOTでのユージーン・スタジオ「新しい海」展、新鮮な刺激がいっぱいでした+ミケル・バルセロ展にもぜひぜひ、3月25…

 樋のなかに 雨の音して 梅三分    (安東 次男)  久々の安次(あんつぐ)さんです。「樋」は「ひ」ではなく「とい」と読みましょうか。初句字余りです。樋に降る雨もどことなく春めいてきたでしょうか、雨音が大きいのでしょう。梅も三分咲きとなりました。二月もそろそろおしまい、となって、武蔵野の我が家の近所の梅は、五分咲き、ですね…
コメント:3

続きを読むread more

吉増剛造さんの日本芸術院会員記録の動画、紹介します

 ピアノ鳴り あなた聖なる 日と冬木    (西東 三鬼)  新興俳句運動の代表的存在だった三鬼の作、自句自解によれば「静養期の作」で、「病後の精神は清らかなものを求め楽しんだらしい」とあるので、昭和13~14年ころの句でしょう。クリスマスイヴ?なのかな、よく晴れてきれいな光がむこうの冬木立に射しています。そこにピアノの音が聴…
コメント:0

続きを読むread more

「吉増剛造の詩業」シンポジウム、オンラインで参加しました。充実の5時間あまりでした。

 ただ寒し 天狭くして 水青く   (夏目 漱石)  明治32(1899)年の句ですから、漱石の第五高校の教員時代です。翌年からロンドンに留学するので、まだ熊本に住んでいたころです。九州とはいえ、冬は極寒の日もあったでしょう。漱石先生、寒がりでしたね、同時期にはこんな句もあります。「短かくて毛布つぎ足す蒲団かな」。 …
コメント:0

続きを読むread more

リヒター展を心斎橋ルイ・ヴィトンで鑑賞+海南の黒江は漆器の町+犬鳴山は霊地、さらに信太の森を訪ねます

 黒猿の 黒き夫婦(めおと)が 日向ぼこ     (三好 達治)  詩人の三好は小動物が好きでした。また動物園に吟行してお猿の句も詠みました。このお正月、東京は本格的な積雪で大変だったようですが、当方はしばらく関西に滞在、あちらでは日向ぼっこが楽しめる、温暖な陽光が降り注ぐ午後もありました。この句、黒い毛の猿のカップルが日射し…
コメント:0

続きを読むread more

2022年、明けましておめでとうございます。

 初茜してふるさとの やすけさよ  (木下 夕爾)  元日の朝の茜空を「初茜」と言います。東京では今年もきれいな初茜の空だったでしょう。詩人で俳人の木下夕爾、出身は広島県の福山市、この「ふるさと」で薬局を営みながら詩作と句作を続けました。元旦の綺麗な朝焼け空をながめて、ふるさとに暮らすことのやすらかさを実感するのでしょう。 …
コメント:0

続きを読むread more

福山知佐子さんの画集『花裂ける、廃絵逆めぐり』が刊行されました+ロック天狗連バンドのライヴ動画の紹介です

   大年の 暮れゆく雲を あふぎけり    (西島 麦南) 「大年(おほとし)」とは大晦日のこと。一年のしんがりの日、ですから、大年というのでしょう。高浜虚子に、「ふさはしき大年といふ言葉あり」という句もあります。さてこの句の作者の麦南は、飯田蛇笏の高弟であり、かつ岩波書店では「校正の神様」と呼ばれた、校正のプロフェッショナル…
コメント:2

続きを読むread more

「ベケット、ツェラン、吉増剛造」、『詩とは何か』のPRの拙文が講談社HPに+谷中のバスハウスでは名和晃平展、刺激的…

 白見つめ 一ト日(ひとひ)暮れけり 日短か    (高橋 睦郎)  句集『十年』から。詞書に「稿進まず」とあります。広げた原稿用紙を見つめながら、筆は動かないのですね。この句の季語は「日短か」ですが、これは四音、つまりこの句は、五七四、という字足らず句です。俳句の場合、字足らずというのは、韻律的にどこか居心地の良くないもので…
コメント:0

続きを読むread more

多摩センターに「縄文の村」を訪ねました+海老塚耕一さん退官記念展は、多摩美大美術館にて開催中

 恋の座を うばはれしどち おでん酒     (松本 邦吉)  詩人の松本さん、2003年より俳句を始めて俳句結社「古志」に入会しました。句集『かりぬひ抄』から。この句、「恋の座」が曲者ですね。これを失恋したオジサンがふたり、屋台でおでんを肴にヤケ酒を呑んでいる、とは解さないように(笑)。句仲間と歌仙を巻いたのでしょう。俳諧之…
コメント:0

続きを読むread more

「ボイスの「社会彫刻」はパブリック・アートだ!」と講演しました+樋口一葉展、かなぶんで鑑賞

 枯芝や 庭の小椅子に 黒鶫(くろつぐみ)    (三好 達治)  詩人の三好達治は、晩年には「俺は俳人になってもよかったな」と独白したそうです。親友だった作家の石川淳が回想しています。実際、残した俳句の数はそう多くないのですが、高浜虚子も「なかなかうまいじゃないか」と評したほどの腕前です。この句、疎開した福井県の三国町での作…
コメント:0

続きを読むread more