富山県美の「TADのベスト版コレクション」展、オープニングを訪ねました+魚津埋没林博物館と氷見の上日寺は越中の隠れ…

 黒揚羽 九月の樹間 透きとほり     (飯田 龍太)  甲斐の国山梨県の山中に暮らした龍太の句、いかにも山の初秋の澄んだ大気を感じさせます。父君の蛇笏には秋の句に、龍太には春に代表作が多いのですが、龍太、もちろん秋の秀句も詠んでいます。こんな作もあります。「存念のいろ定まれる山の柿」。わが家の近所の柿の実もよく色づきました…
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拙著『リリカル・クライ』、刊行記念トークは吉増剛造さん、小池昌代さんゲストに青山BCにて+神保町はアートの街、ギャ…

 乳母車 坂下りきつて 秋天下    (橋本 多佳子) 角川文庫に『多佳子全句集』が出てますね。この解説エッセイで小池昌代さんが「定型が言葉を、言葉が定型を、余すことなく使い切っていて、それが一句全体に、神経がはりめぐらされた印象を呼ぶ」と述べています。至言でしょう。まさにこの句にもあてはまります。急な坂をゆっくり下って行った…
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初のエッセイ&書評集『リリカル・クライ Lyrical Cry 批評集 1983-2020』、誕生です+吉増剛造さ…

 昼の眼覚(めざめ)のさびしさ 虹が濃ゆくなる   (眞鍋 呉夫) 『眞鍋呉夫全句集』(書肆子午線)からまた引いてみました。眞鍋さんの句、時に破調が混じります。季節は特定されませんが、なんとなく晩夏のころのよう。こんな句もあります。「水族館にわが来たりしは侘しきなり」。こちらも晩夏の気分でしょう。  この書影をご…
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奈良の談山神社を訪ねました+東洋陶磁美では天目茶碗展+南紀のゆかし潟や那智の滝を再訪

 たはやすく 過ぎしにあらず 夏百日    (石田 波郷)  波郷の句集『惜命』(昭和25年)からの句です。夏場の百日が安穏に過ぎたわけではなかった、という句意ですが、波郷は当時、清瀬の療養所で肺結核と闘っていたので、まさにそう、なのでしたね。しかしこの夏は、われわれにとっても、コロナ禍や連日の猛暑との闘いでした。この句の重み…
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国立新美では「古典×現代」展、観てきました+炎天下の岐阜は関市と美濃市を観光!しました

 がてんゆく 暑さとなりぬ きうりもみ    (久保田 万太郎)  久々の万太郎の句です。しかし連日のこの猛暑、とても「がてんゆく暑さ」なんてものじゃあありません。列島各地で40℃近い最高気温。暑い夏の日には胡瓜もみが酒の肴にいい、という句のこころですが、胡瓜もみで冷酒をゆっくり、とゆくには、せめて最高気温は32℃くらいで収ま…
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都現美のオラファ―・エリアソン展、エコロジーアートは美しいのです、ぜひご覧あれ+出口裕弘さんの評伝『辰野隆』、面白…

 不揃な 石を洗つて 展墓かな    (安東 次男)  やっと夏だ、と思ったら盂蘭盆はもうすぐそこに来ています。あんつぐさん、岡山は津山の父祖の墓に参った際の一句でしょうか。あんつぐさん自身のお墓は調布の深大寺の墓地、俳人の先輩石田波郷も近くに眠ります。僕は二回お詣りしました。二回めは、墓地の場所をなかなか探せずに往生しました…
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ヨコハマトリエンナーレ2020に行きました+「ご近所隠れ家」に玉川上水緑道を加えましょう

 明易き 枕いくたび 返しては    (高橋 睦郎)  長かった梅雨がやっと明けました。睦ちゃんのこの句、枕を主題にした連作『百枕』から。ちょうど梅雨明けの今ごろの情景でしょう。「明易し」は夜が短くなった夏を表わす季語ですが、夜はやはり寝苦しいので、何度も目を覚まします。そして枕をひっくりがえしてまた眠りにつく、というわけです…
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竹橋のピーター・ドイグ展、面白いです+樋口朋之絵画展は神保町のThe Whiteで開催中

 蛞蝓(なめくじ)の 化けて枕や 梅雨長き    (高橋 睦郎)  今年の梅雨が明けません。八月ももうそこに、というのに。このところの東京の日照時間は例年の三割とか。強烈な真夏の太陽の日射しが恋しいです。睦ちゃんにこんな句がありました。いかにも、です。長梅雨の鬱陶しさが巧みに喩となってます。ナメクジに塩をかけて梅雨明けを念じま…
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アーティゾン美術館、初めて訪ねます、鴻池朋子「ちゅうがえり」展は素晴らしい!+俳句関連書籍と三木竹二の評伝を購入

 生き堪へて 身に沁むばかり 藍浴衣(あいゆかた)    (橋本 多佳子)  多佳子は昭和30年代に亡くなりましたが、残された写真を見ると、若いころは目立つほどの美人さんですね。この作者にこの句あり、ですか。さぞや藍色の浴衣がお似合いだったでしょう。俳句の世界、虚子の弟子に四(しい)S、つまり俳号がSではじまる秋桜子・素十・青…
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ペドロ・コスタ監督の新作『ヴィタリナ』試写会に行きました+吉岡正人さんの素描「季節は変わる」をリビングに

 縷(る)のごとく 女人のこゑや 蚊ふすべす  (飯田 蛇笏)  角川文庫の『飯田蛇笏全句集』を入手しました。平成28年にやっと文庫化されたのですね。これ、夏の佳句です。縷とは「糸きれ」とか「ボロ」の意味。「まあ蚊が出てるわ」とかの声が聴こえたので、蚊遣り火、蚊取り線香を焚いたわけですね。さすが蛇笏、どこか格調高いものがありま…
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吉岡正人さんの「素描と下図」展は初台のZaroffで+J・ジャームッシュのゾンビ映画『デッド・ドント・ダイ』、失望…

 蚊遣火に 雨後の読書の 続くなり    (高柳 克弘)  第二句集『寒林』からいまの季節の句です。梅雨時の雨上がり、もわーとした湿気のなかにぶーんと現れる蚊をよけるため蚊取り線香を焚いて読書している、という情景でしょう。しかし、虫が激減したこの夏、蝶や蜂のみならず蚊や蠅の姿もほとんどありません。本気で心配しています。 …
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足利では吉増剛造さんの公開制作+恵比寿のMA2では現代美術のグループ展

 迎え傘 はしりの梅雨を みやげかな     (加藤 郁乎)  いよいよ梅雨の季節です。イクヤーノフさんのこの句、芭蕉の一番弟子だった其角の江戸座ふうの、粋な気分をよく出しています。郁乎氏は、日本テレビのプロデューサーで、澁澤龍彦はじめ友人の文学者たちをどんどんテレビに出演させましたが、晩年はすっかりこの江戸座俳諧の研究にハマ…
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「空想美術館」、とりあえずのおしまいはミヒャエル・ボレマンス展です+「ご近所隠れ家」、実篤公園がありました

 蛍火や 夜の眸(ひとみ)と いふべかり    (坂内 文應)  六月を迎えて、蛍の飛ぶ季節になりました。しかし実物の蛍をもう長い間見ていませんね。坂内さんの第二句集『天真』からのこの句、たくさんの群れが集まるさまではなく、初夏の闇を一匹がふうわりと光って飛ぶ光景を詠んだのでしょう。詠者の孤心も歌われた句ではないでしょうか。 …
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「空想美術館」はアンリ・ミショーの世界です+お気に入りロックバンドです、マグパイ・サルート!

 子の傘の 紫陽花よりも 小さくて    (田中 裕明)  梅雨入りが近くなりました。紫陽花の季節。さて作者の田中裕明氏、波多野爽波の弟子であり、また高浜虚子から行けば孫弟子として俳壇では嘱望されながら、2004年に45歳の若さで亡くなります。現在ではふらんす堂の主催する、新人俳人対象の田中裕明賞にその名を残しますね。この作も…
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「空想美術館」、続いてはドイツ人の現代画家ディーター・コップの世界です+「ご近所隠れ家」、烏山寺町の妙寿寺へ

 朧夜の まなこ瞑れば 見ゆるもの      (真鍋 呉夫) 小説家の真鍋呉夫は、俳人として、あるいは歌仙の宗匠として端倪すべからざるものがある、との評判はずっと聴いていました。先日久しぶりに所用で電車に乗っての外出、ついでに新宿の紀伊國屋書店を訪ねて、俳句のコーナーを覗いたところ、『真鍋呉夫全句集』が平積みでした。これは購入…
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「空想美術館」第7回は鬼才ヤン・ファーブル+ご近所隠れ家、仙川の中嶋神社です

 目をつむりいても 吾を統(す)ぶ  五月の鷹    (寺山 修司)  短歌や演劇の世界の活動で知られる寺山修司ですが、十代は俳句作りに情熱を傾けていました。早熟な高校生時代、もうこんな秀作を詠んでいるのですね。五月の爽やかな季節感も呼び込むような作、青春まっただなかの作者の姿が浮かびます。同世代の詩人の清水哲男さんは、受験雑…
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「空想美術館」の第六弾は、渋くモニカ・フェッランドの絵を+隠れ家案内は、成城みつ池緑地です

 うすうすと 窓に日のさす 五月かな   (正岡 子規)  この句もたぶん根岸の子規庵の六畳間で詠まれたものでしょう。結核性の脊椎カリエスで寝たきりだった子規、庭に面した障子窓に五月の明るい陽が射すのを喜んでいます。子規の俳句、率直な詠みぶりの作に、惹かれるのが多いですね。現在の子規庵、戦災を受けて母屋は焼失したのですが、土蔵…
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五回目の「空想美術館」は「世界最高峰の画家」ゲルハルト・リヒターです+北村太郎さんの眠る烏山の妙祐寺をご案内

 てふてふや 水に浮きたる 語彙一つ    (河原 枇杷男)  「てふてふ(蝶々)」を詠んだ句ですが、枇杷男は永田耕衣の弟子、ただの花鳥詠ではありません。「水に浮く語彙」とは、どこか形而上性をはらんだ世界です。しかしこの春、ご近所で蝶の姿を見ることがめっきり減りました。ここ数年、蝉声も少なくなって、昆虫の世界が危ないそうです。…
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次はジョセフ・クーデルカの写真展をどうぞ+ヴァレリーの詩集『コロナ』!を丸池公園で読みました

 日曜の 紅茶のまへや 石鹸(しゃぼん)玉    (芝 不器男)  石鹸玉は春の季語です。昭和5年に28歳で亡くなった不器男、この句を詠んだのは郷里の愛媛県は南予地方の松丸の家で、だったでしょう。当時のそんな田舎で、「日曜の紅茶」とはずいぶんとハイカラですが、芝家は素封家です、それくらいの贅沢は出来たでしょう。春の気分満載の一…
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「空想美術館」、今回はピエール・クロソウスキーの妖しいドローイングを+劇作家・高橋丈雄氏のこと+烏山の屋敷林にどうぞ

 紅さして 細かなものに 春の塵    (高橋 睦郎)    春の季節感を濃密にはらんだ句を探してみました。これはいい句です。詩人の睦郎さん、年少のころから俳句や短歌にも手を染めていたよし。これを収める『稽古飲食(おんじき)』は、前半は句集の「稽古」、後半は歌集の「飲食」の二部から成った変則的な一冊ですが、1987年度の読売文学…
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