吉増剛造さん、足利のギャラリーにてパフォーマンスでした+NHK日曜美術館では「パレスティナ ガザの画家たちと上條陽…

 犬声の 人語に似たる 暑さ哉    (内田 百閒)  百閒の俳句を集めた『百鬼園俳句帖』からです。百閒先生の俳句は、割合おとなしい詠みぶりの作が多いのですが、時に「いかにも」という句が出てきますね。蒸し暑いので犬が「うーわん、わん、わん」と吠えてます、それがまるで人の言葉みたいに聞えるというわけです。東京、まだ6月というのに…
コメント:0

続きを読むread more

せきがはら人間村生活美術館での柳澤紀子展を観てきました。人間村、古戦場の関ケ原をアートと共生のユートピアに変えてい…

 木の芽雨 ききつつひとり 眠らなん    (田中 冬二)  木(こ)の芽時の雨は春の季語です。田中冬二は、詩誌「四季」後期を代表する詩人ですが、86歳で亡くなるまでに四冊の句集を刊行しました。若やいだ抒情性を表看板にした詩人でしたが、この俳句にもそれは表れていますね。「すぺいんささげの鉢を/外へだしてねてもよい頃となりました…
コメント:0

続きを読むread more

日本民藝館の改修記念の名品展を観てきました+東北への旅、北上・花巻・仙台・平泉と巡りました。平泉、浄土庭園が良かっ…

 春うらら いのちあるものみなかなし     (那珂 太郎)  詩人の那珂太郎さん、愛犬を詩集のなかでは「チャアリィ・チャップ」と名付けてますが、犬にしては相当に長寿でした、19歳でそのチャアリィ・チャップがみまかった際の追悼句です。さらにもう一句、「春真昼 まぼろしの犬かける見ゆ」。詩人はたいていは猫派、犬派のひとは珍しいで…
コメント:0

続きを読むread more

「GAFの部屋」で瀧口修造と加納光於さんの詩画集『稲妻捕りElements』を採りあげて話しました+田原桂一のポル…

 聲あげて 蝶舞ひ殖ゆる 晝の夢    (高橋 睦郎)  さすが詩人の作だけあって、春の昼の夢、ファンタジックな世界ですね。次々に群舞の輪に加わる蝶々のイメージですが、しかし蝶はどんな声をあげるのでしょう。夢のなかの蝶の声を聴いてみたいものです。  赤坂に誕生した画廊G.Art Field、美学者の谷川渥さんらを…
コメント:0

続きを読むread more

加藤啓さんの「漂着物/廃棄物の操り人形」展、面白い+吉増剛造さんの「葉書Ciné」のご案内+田中純『D・ボウイ』拙…

 永き日や 欠伸(あくび)うつして 別れ行く   (夏目 漱石)  夏目金之助が「漱石」という筆名を用いたのは俳号として、でした。明治30年前後は特に熱心に俳句を詠んでいます。明治29年春のこの作、「松山客中虚子に別れて」という詞書があります。松山に帰省した高浜虚子と会い、別れて、という状況です。漱石はこの後、次の任地である熊…
コメント:0

続きを読むread more

南桂子「蝶の行方」展をミュゼ浜口陽三で観ました。可憐な世界です。

 春宵の ゆくてにあかりふえ 安堵  (久保田万太郎)  暗くなった春の夕暮れの道を歩いていると、あたりに灯りの灯った家々が増えてきた情景でしょう。ひとの暮しの温かみを詠んだのは、本業は劇作家だった万太郎ならでは、です。「安堵」の語が効いています。  水天宮前駅の近くのミュゼ浜口陽三では、版画家の南桂子(1911…
コメント:0

続きを読むread more

アート・レクチャー・シリーズ「GAFの部屋」、いよいよスタートです+銀座のファッションビルGINZA SIXでは名…

 春暁や 寺の甍(いらか)の 濃むらさき    (吉岡 実)  詩人の吉岡実さんの作る俳句には、瑞々しい抒情性に富んだものが多いですね。これもそうです。ふと、三好達治の詩篇「甃(いし)のうへ」を連想しました。「み寺の甍みどりにうるほひ/廂々に/風鐸(ふうたく)のすがたしづかなれば/ひとりなる/わが身の影をあゆまする甃のうへ」と…
コメント:0

続きを読むread more

府中市美では「ぎこちない」が主題の与謝蕪村展、面白いです+笠井叡さん、大石凝真素美のテキスト朗誦で踊りました、凄い!

 夕ばえて かさなりあへり 春の山    (飯田 蛇笏)  格調高い句風で、近代俳句界の最高峰とされる蛇笏に、こんなシンプルな春の句がありました。暮らし続けた甲斐の国の風景を写生の原則にのっとって詠みましたね、やはり虚子の弟子です。この平凡さが佳いです。  府中市美術館で、「与謝蕪村 「ぎこちない」を芸術にした画…
コメント:0

続きを読むread more

古民家と福田尚代さんらの現代アート作品のコラボ、面白いです+大宮郊外の見沼の里山、春爛漫でした

 ひとつぶの 春の星あげ 廬舎那仏    (飴山 實)  この「廬舎那仏」、奈良は東大寺のあの大仏さんですね。飴山氏は虚子流の花鳥諷詠派ではないので、大仏殿のうえに春の星がひとつ光っている写生句と読まないほうがいいでしょう。廬舎那仏の広大な慈悲心が、宇宙の万物に及んで、あの春の星を光らせている、という読み筋のほうがいいのでは。…
コメント:0

続きを読むread more

世田谷美術館ではフィンランド建築のアアルト展、いいですよ+世田谷城址公園と豪徳寺を散策しました

 毎年よ 彼岸の入(いり)に 寒いのは     (正岡 子規)  コロナ禍まだ先の見えないなか、今年も春の彼岸を迎えています。子規のこの句、「母の詞自ら句となりて」という詞書を持ちますが、子規の育った松山の街で四年間暮らしたとき、地元のひとらはこのフレーズを格言のように口にしていたのを記憶します。今年の東京も、寒暖なお定まらず…
コメント:0

続きを読むread more

ミュゼ浜口陽三にて写真家の濱田祐史氏との公開トーク、白熱の時間でした(追加動画あり)+岡井隆の詩をめぐるシンポ、充…

 老境も 佳境に入りぬ 春炬燵     (高橋 睦郎)  詩人の睦郎さん、1937年生れですから、当年84歳、ですか。確かに「老境」の自覚、でしょう。この句を収める句集『十年』(2016年刊)の作者プロフィールによると、「詩集26冊、歌集8冊、句集8冊」とは、こりゃあ大したもの。何年か前に葉山のご自宅の改装を行なったそうですが…
コメント:0

続きを読むread more

横田茂ギャラリーでは岡崎和郎展、新展開です+梅が満開の北鎌倉・東慶寺、雅趣のある静かな境内でした。文人らの墓に詣で…

 酒そこそこ ひとり飯くふ 春寒し     (加藤 郁乎)  2006年=平成18年刊行の句集『實(じつ)』に収める句です。文學の森というところから間村俊一さん装丁で出たこの句集、古書で求めましたが、僕が所持するのは「限定六〇〇部のうち」「第19番」です。かつての前衛俳句の旗手だったイクヤ―ノフ氏、晩年はすっかり江戸座俳諧の徒…
コメント:0

続きを読むread more

千葉市美の田中一村展、面白かったです+大岡信賞に詩人の岬多可子さん、おめでとう!+吉増さんの栗原洋一さん追悼の言葉…

 書をくりて 風邪の憂鬱 ひとり黙す    (橋本 多佳子)  師匠格の俳人・山口誓子はこう言っています。「ひとが多佳子の美貌のことを言うと、多佳子はそれを否定して、私には何か雰囲気というようなものがあるのかも知れませんと言うのを常とするが、そういう「雰囲気」が多佳子句にもある。」なるほど、です。いわゆる「現代俳句」らしい雰囲…
コメント:0

続きを読むread more

松山在住で詩集『吉田』、『岩船』の詩人・栗原洋一さんが逝去されました

 今日は「折々の句」は紹介いたしません。訃報をお伝えしなくてはなりませんので。  2月5日(金)のことでした。愛媛県松山市に在住の詩人・栗原洋一さんが逝去されました。1946年2月28日生まれでしたから、享年74歳。嗚呼、です。ちょうど一昨年に詩集『岩船』を出して、「さあ次また、新しいのを出しますよ」と意気軒高だったのに、彼の…
コメント:2

続きを読むread more

神保町のギャラリー&Legionでは島田忠幸展、アルミ製の甲冑を着てのパフォーマンスもありました。

 潺潺(せんせん)と 冬泉(ふゆいずみ)あり 土葬村   (小澤 實)  「潺潺」とは「潺湲(せんかん)」と同じで「さらさらと水の流れるさま」を言います。しかしこの句のポイントは「土葬村」ですね。現在では認められていないでしょうが、土葬の風習のある村が舞台です。小澤氏の俳句は、時に物語のロマンに満ちたものがあります。第二句集『…
コメント:0

続きを読むread more

赤坂に画廊G.ART FIELDがオープン、様々な企画を発信の予定です+高志の国文学館の「久泉迪雄の書斎から」OP…

 紅梅や すぐ開けてみる 菓子の箱    (長谷川 櫂)  第七句集『初雁』(2006年)から。到来物のお菓子があります、というので、つい「どんなお菓子かな」と開けてみるわけですね。よくわかります(笑)。櫂さんの句風もこのあたりから、だいぶ軽みを重視するものになったようです。かの芭蕉の『七部集』でも、風雅の極みに達したとされる…
コメント:0

続きを読むread more

カスヤの森現代美術館のヨーゼフ・ボイス生誕100年展、いいですよ。それに裏山の羅漢群像が面白い。

 死して名なき 人のみ住んで 梅の花     (夏目 漱石)  明治32年の初春、漱石先生は梅の句をズラリと41句!も連作していますが、そのなかの1句。庶民の住まいのそばに梅一輪、という風情を詠みました。この翌年に漱石はロンドンに留学します。エリート英文学者、でありました。さあ一月も終わろうとする列島、東京周辺は梅もちらほら咲…
コメント:0

続きを読むread more

現代美術の新しい才能を発見!KAATでの富安由真、「漂泊する幻影」展は大注目です。

 空の光りの 湯の面(も)にありぬ 二月風呂   (芝 不器男)  昭和5年2月に27歳の若さで亡くなった不器男ですが、生前に詠んだのは370句ほど。文芸評論家の山本健吉は、そのなかに駄句は一句もない、と評価します。うん、賛成ですね。手元の全句集を読み返すたびに、「お、こんな佳い句があったのか」という発見が続きます。今回も冬季…
コメント:0

続きを読むread more

ミュゼ浜口陽三での濱田祐史の写真作品、斬新な映像です+江戸東京博の古代エジプト展は見応えあり、です

 猫夫人 猫を放てり 冬うらら   (山口 青邨)  青邨は岩手県出身の俳人ですが、東大工学部の教授でもありました。晩冬となって暖かい陽射しのもと、奥さんが飼い猫に「さあ散歩しておいで」と言って、庭に抱きおろした光景ですね。「猫夫人」の一語がインパクトあります。青邨はまた「冬うらら」をこうも詠んでいます。「かぞへつつ十三時うつ…
コメント:0

続きを読むread more

年始の紀州の史跡探訪紀行です(岩橋千塚・岩内古墳・道成寺・興国寺etc)

 淡雪の 消えてしまへば 東京都    (加藤 楸邨)  目下、大寒波が日本列島を襲っています。さて楸邨のこの句は「淡雪」を詠んだものですが、なんといっても面白いのが、「東京都」ですね(笑)。格調高い詩情で知られる楸邨さん、時折こういう具合にちょっとズッコケてみせるユーモアを発揮してくれます。  三が日が明けての…
コメント:0

続きを読むread more