梅見の会に参加+和歌山近美で宇佐美圭司と佐藤時啓作品などを鑑賞しました

 三月の 鳩や栗羽を 先づ翔ばす     (石田 波郷)

 波郷俳句の魅力は、明るくモダンな花鳥諷詠にある、とはかねてから思っています。この句などが好例でしょう。初春の明るい光のなかを栗色の羽の鳩が元気よく飛んでいきました。もの皆新生の春到来、です。

 二月末に、小石川植物園を友人たちと訪ねました。ここの梅園で梅見の会です。一昨年も同じ顔ぶれでした。このBLOGでレポートしています。詩誌「麒麟」の旧同人だった吉田文憲さんと松本邦吉さんに小生、それに「麒麟」の準同人のような?仏文学の兼子正勝さん、といった顔ぶれ。文憲さんの住まいが、ちょうど植物園の真ん前なので、「ウチの庭で梅を観ましょう」というノリでお誘いがありました。

 茗荷谷の駅に集まって植物園まで散策、おや途上に「石川啄木顕彰室」というのが出来てました。啄木の終焉の地を記念した施設ですね。啄木が亡くなる直前に詠んだ短歌、まさに白鳥の歌を刻んだ石碑があったので、みんなで記念撮影です。(画像をクリックくださると大きくなります。短歌も読めるでしょう。)

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 なんとなく文京区にやってきたな、という気分で植物園を目指します。おや、入園券を向いのお菓子屋さんで購入したこれまでと違って、自動販売機が出来てました。梅の花、さあ七分咲きというところでしょうか。メジロも来てました。ここでもまた梅を背景に記念撮影です。

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 園内のあずまやに座って昼食としましょう。僕も伊勢丹のデパ地下でお惣菜を見繕ってきましたが、いやいや、なんといってもメインは、兼子さん御手製のチラシ寿司です。酢でしめた魚は別皿で、盛り付けていただきます。ご覧ください、おいしそうですよ。実際、おいしかったです(笑)。

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 さて、梅見の翌日からは、しばし家の用事があって、和歌山市に帰りました。今回は和歌山市駅前のビジネスホテルに止宿しましたが、そばには地酒「世界一統」の工場?があります。そう、ここは南方酒造。あの南方熊楠の実家ですね。熊楠先生はここで生まれたそうで、生家跡にはブロンズ像が建ってました。

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 三日間の滞在中は、俗務で忙殺されましたが、少時閑暇を得て、和歌山県立近代美術館を訪ねます。ちょうど「宇佐美圭司回顧展」を開催していました。宇佐美圭司さん(1940~2012)、年譜を見ると、そうか、大阪府のお生まれながら、少年時代をここ和歌山市で過ごしているのですね、知らなかった。市立中之島小学校に通い、市立伏虎(ふっこ)中学に入学されてます。ちょうど和歌山城の前にある中学校です。そんなご縁で、没後に関西圏では最初の回顧展が開かれたよし、です。

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 宇佐美さんとは、一回だけ、ほんのわずかな時間でしたが、お目にかかったことがありました。あれは、詩人の辻井喬さんとの「二人展」を京橋の南天子画廊でなさった折です。1995年の5月でしたね。ちょうどNHKのBS2で放送する「現代詩実験室」という番組で、辻井喬さんが主役の回をロケ中でした。僕は番組の企画と進行役でしたので、辻井さんの南麻布のお住まいにインタビューにうかがいました。その流れで、ちょうどオープニングのあった南天子画廊も訪ねたわけですね。幾何学模様のなかに、人体のフィギュアが描かれる、宇佐美さん独特のスタイル、これはだいたい60年代後半から始まったようです。ご覧いただく作品、最初のは遺作となった2012年の《遺作・制動(ブレーキ)・大洪水》です。

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 館内では、同時に「光について」という小展示が行われていました。視覚芸術における光の表象をテーマにした企画ですね。これが面白かったです。中西夏之さんや瑛九、トマス・ルフといった作家の作が出展されています。

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 なかでもとりわけ惹かれたのは、佐藤時啓(ときひろ)さんの「光ー呼吸シリーズ」です。風景のなかで光が息をしているかのように点滅しています。なんでも鏡を持ってカメラの周囲を移動して、その軌跡をフィルムに定着させる手法で撮られた、とのことです。この館では作家によるワークショップも開かれたとか。それは参加してみたかったですね(笑)。そうそう、佐藤作品、昨年末のこのBLOGで原美術館のドイツ銀行コレクション展をレポートした際にも紹介をしましたね。ご覧ください。ただし、ネットで収集した画像ですから、この展示に出ていないのもあります。

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 お別れの引用句、佐藤さんの呼吸する光の映像に敬意を表して?、新進の女性詩人の詩篇から一節を引きましょう。平田詩織さんの詩集『歌う人』のなかの一篇です。

「(あなたはわたしのひかりのひとですか)」
                                                      (平田 詩織 「歌う人」)

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