林浩平の《饒舌三昧》

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zoom RSS 神奈川近美では「貝の道」展、面白い!葉山は夏のバカンスの季節でした

<<   作成日時 : 2018/08/18 12:32   >>

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 がてんゆく 暑さとなりぬ きうりもみ     (久保田 万太郎)

 万太郎、夏の猛暑を迎えて、「納得のできる暑さになったなあ、こんな季節の酒の肴には胡瓜もみだ」と詠んでいます。これぞ、夏の醍醐味という一句でしょう。しかし今年のような酷暑ではこんな句は出てきません。ただ今夜はやや涼しい夜風がわたって、晩夏という感じです。

 さて、葉山にある神奈川近代美術館、いまは国立民俗博物館との共催で、「貝の道」展を開催中です。民博の厖大なコレクションから、貝細工の品を約160点展示されました。先日もここで、庭園美術館の「ブラジル先住民の椅子」展を紹介しましたが、このところこうしたプリミティヴアートの世界におおいに関心がありますので、これは観ておかなくっちゃ。逗子駅から海水浴場に行くひとたちで満員のバスに乗って、葉山館に向かいます。

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 美術館裏の海岸、この季節以外は閑散としていますが、いまはこんな感じ。海水浴場です。富士山はもやって見えません。

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 いつもなら新宿のデパ地下でお弁当を買ってきて海岸の近くで食べるのですが、とにかく外は暑いですから、美術館のレストランで、ここの人気商品であるシーフードカレーを食べてみようと列に並びました。しかし、一時間待ち(泣)、持参した堀田善衛さんの長編評伝『ゴヤ』に読みふけっていました。やっと注文したカレーが来ます。デジカメで撮りました(笑)。

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 さて展示会場に入ると、おやおや、今日は夏休み特別サービスというわけでしょう、出展品を写真撮影しても大丈夫です、の期間なのですね、ありがたいです。第一展示室でまず目を引いたのが、これです。大きな像が真ん中に置かれています。

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 これは、パプアニューギニアの「神像付きの椅子」とのこと。椅子とはいいながら、要は祭壇のようなものだとか。霊媒者が、これに触れながら神の言葉を発するのだそうです。顔にはハナビラダカラを始めとして6種類の貝が使われています。(鼻に刺さっているのは、野ブタの牙です。)そう、とにかく、宝貝、これがこうした民具や呪像にたくさん用いられているのですね。

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 これらがタカラガイです。これらを使って、装身具などがたくさん作られました。

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 宝貝に注目した民俗学者は柳田国男で、『海上の道』で述べられているのは周知の通りです。だから吉増剛造さんも「柳田さんの真似をして僕もタカラガイをいつも持って歩いてます」と仰り、動画作品のgozoCineには、ピンチハンガーに吊るしたタカラガイがしばしば登場しますね(笑)。とにかく人類とこの貝との交渉は古いようです。

 なんでも古代中国の殷王朝の時代、といいますから、BC1600〜1000年ころでしょう、すでに宝貝を貨幣として用いていたそうです。13世紀末の元に入ったマルコ・ポーロは、『東方見聞録』のなかで、子安貝つまりタカラガイが通貨となっていると証言しています。面白いのは、この貝の原産地からうんと離れたアフリカ大陸でもこれが重用されたことです。14世紀の西アフリカのマリ帝国では、タカラガイが貨幣だったとか。原産地のモルジブ諸島から、北アフリカ経由でサハラ砂漠を抜けて伝わったよし、17世紀のヨーロッパの奴隷商人は、アフリカでの交易にこの貝を使ったともいわれます。

 さて展示会場、そのタカラガイの流通の歴史をアフリカ、アジア、オセアニアに分けて構成していますね。まずアフリカから見て行きましょう。これは興味深いです。

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 アフリカのコーナー、いくつもの仮面が置かれていますが、こちらはコートジボアールのものとか。確かに、タカラガイがいくつも使われているのがわかります。続いては、カメルーンの仮面です。

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 うえの仮面など、顔の輪郭線がみんなタカラガイです。いやあ、アフリカとタカラガイ、これは僕には「発見」でした。アフリカの面白い仮面コレクション、まだまだあります。

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驚いたのは、これです。なんでも薬入れに使われたものだとか。薬の霊力をアップさせるために、タカラガイの力に頼ったのでしょう。モザンビークで収集されたものです。

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 それからエチオピア産のもの、携帯用の枕と背負い袋です。みんなタカラガイですよ。

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 続いてはアジア地域のコーナー。インド、パキスタン、そして台湾での収集品です。

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 最後のフロアーは、オセアニア地域。ここには、興味深い彫像や仮面がたくさん展示されています。オセアニアには1万以上の小さな島があって、それらは地理学・人類学的に、メラネシア、ポリネシア、ミクロネシアと三つの地域に分類されますが、特にメラネシアに豊かな仮面や彫像の文化が発達したよし。フロアーの中央に、パプアニューギニアの面白い彫像が立っていました。

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 ここの展示で目をひいたのは、どんとした存在感を示す貝貨です。これらはタカラガイの他に、イモガイやクロチョウガイなども使われています。お嫁さんを貰う際には、「婚資」と言って、これら貝貨を贈らなければならないとか。貝が希少価値を持つことの他に、どこか霊力を孕むとされたためにこういう使われ方をしたのでしょうね。

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 パプアニューギニアの魅力ある彫像や仮面をもうちょっと紹介しましょう。

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 葉山館でのこの「貝の道」展、9月2日(日)までの開催です。夏の葉山海岸にどうぞおでかけください。そう、お土産にいいものがありました。貝をあしらったボックスです。リーズナブルなお値段、540円ですよ。こちらもおススメです(笑)。

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 お別れの引用句、柳田国男先生の言葉としましょう。

「秦の始皇帝の世は、銅を通貨に鋳るようになったまでは、中国の至宝は宝貝であり、その中でも二種のシベレア・モネタと称する黄に光る子安貝は、一切の利慾願望の中心であった。」

                              (柳田 国男     『海上の道』)









 

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