林浩平の《饒舌三昧》

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zoom RSS クロコダイルで詩の朗読会+「放送大学」特別講義、ここでOK+吉増さんの肖像写真をリビングに掛けました

<<   作成日時 : 2018/10/06 01:28   >>

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 山川(やまがは)に 高浪も見し 野分(のわき)かな     (原 石鼎)

 野分、つまり台風を詠んだ句ですが、当時の石鼎(せきてい)は吉野の山奥に暮らしていました。ですから「山川」は山を流れる川の意味。その川に高浪がたったのですから、さぞやの暴風。この句を評して、安東次男さんは「「高浪を」ではなく「も見し」と遣ったところがうまい」とホメています。この夏は台風ばかり、もうコリゴリです。

 さてこのブログでは、季節ごとに掛け替えたわが家のリビングの掛け軸を紹介しています。夏の間は、ずっと鮎の絵でしたが、秋を迎えてやっと掛け替えをしました。もう何度かお目にかけています「観音図」をご覧ください。

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 これを描いたのは、日本画家の鈴木華邨ですね。軸を収める木箱に、「華邨筆観音図」の六文字が読めます。この画家、安政生れで、明治、大正と活躍して、かなり人気もあったそうです。幸田露伴の本の口絵なども担当してます。わが家の曾祖父が手に入れたもの。

 この華邨の弟子に、小原古邨という画家がいました。いまちょうど茅ケ崎市美術館で展覧会をやっています。この古邨を特集するNHKの「日曜美術館」、明後日7日の朝9時からの放送です。演出は、僕の「放送大学」特別講義を手掛けてくださった原口美早紀ディレクター。古邨、本邦初紹介、ということですので、おおいに期待しています。皆さんもどうぞご覧くださいな。

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 いきなりワニの大きなオブジェが登場ですが、はい、ここは渋谷から原宿方面へ明治通りを少し行ったところにあるライヴハウスの「クロコダイル」です。けっこう老舗クラスのライブハウスだそうで、公演予定を見ると、おお、それなりに知られたバンドが出るようですね。ここで、台風24号が接近中の9月30日、詩人たちの朗読会があって、聴きに行きました。

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この催しを企画したのは、詩人の浜江順子さん。かなりの数の聴衆が集まりましたね。浜江さん自身も、帽子にマフラーのいでたちで自作詩朗読です。また生野毅さんなど、衣装をステージ用に着替えて、また仕草や身振りに演劇性を持たせてのパフォーマンスです。一緒にピアノ演奏をしたのは木村裕さん。木村さんの演奏は初めて聴きましたが、確かな技量です。打ち合わせなしのまったくの即興とか。

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 続いて紹介するのは、マーサ・ナカムラさん。詩集『狸の匣』で、今年の中原中也賞を受賞した新鋭です。まだ20代というのに、「石橋(しゃっきょう)では/赤獅子と白獅子が並んでいて/沢では天狗が下着を洗っている。/山からは、一匹の熊が降りてくる。」なんて調子の、民話調というかフォークロアふうというか、なんともケッタイな持ち味の詩を書くのです。これからどんな世界を切り拓いてゆくか、たのしみなひとり。

 それから、この日は長老格、でしたね(笑)、吉田文憲さんも自作詩を読みます。文憲さんとは同人誌「麒麟」時代の僚友でしたが、当時、というのは1982年から86年のころは、自作詩朗読をしようなどとは思いもつかず、いやこれは、昨年にやはり同人だった朝吹亮二さんが朗読するのを旧同人で聴きに行って(松浦寿輝さんはいなかったな)、感慨深かったのと同様、「そうだ、当時はエクリチュールの時代だったからなあ」でした。しかし文憲さんの朗読、訥々とした空気が、東北のおじいさんの昔語りを聴くような(失礼(笑))感じもあって、悪くなかったですね。

 この日、強い感銘を受けたのは、田中さとみさんでした。さとみさんも去年に刊行した第一詩集『ひとりごとの翁』が中也賞の候補となったりで、やはり注目される新人のひとりですが、その朗読、ぐいぐい来るものがありました。メールのやりとりでは、「生まれて初めて自作詩を朗読するのでドキドキです」とか綴られていたので、ちょっと心配したのですが、いざ始まると、言葉がストレートに飛び出してきます。その健気な様子をデジカメで撮りました。

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 途中で木村裕さんのピアノも加わっての熱演でした。ステージで語ったところによると、学生時代には女子ボクシングの部活に入っていたとか。それは知らなかった。でもそう言われると、さとみさんの詩からも一種の破壊衝動がうかがえるようです。文憲さんがその栞で、「奔放な荒ぶるカミの悲しみ、そして生きる強い意志の力が漲っている」なんて、うまいこと書いてました。

 さて、朗読の合間には、マーサさんとさとみさんに文憲さんが加わってのトークタイムも設けられました。お父さん世代の文憲さんと娘世代のふたり、ですね。いやあ「世代交代」は進行中です。若いふたりは一緒に同人誌を出す計画だとか。それはたのしみです。

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 文憲さん、最後にふたりから花束を贈られて、嬉しそうでした。クロコダイル朗読会、現代詩人もこつこつ頑張ってるんだ、という気概を示せましたね。

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 さてここで、二年前の「放送大学」特別講義のロケシーンのスナップを、ちょっとご覧ください。僕が出演しました「文人精神の系譜〜与謝蕪村から吉増剛造まで」、ついこないだのことのようですが、もう二年がたちますね。

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 最初のは蕪村の墓のある京都は金福(こんぷく)寺の前で、続いては大学の研究室で、それから、吉増剛造さんのお宅にインタビューに乗り込む前に、佃の赤く塗られた欄干のところで、最後は北鎌倉の故澁澤龍彦邸の前でのロケスナップです。こんな感じで撮影していました。

 いや、なんでまた、昔のことを蒸し返すかと言いますと、その45分の特別講義の番組が、現在は自由にこのURLで観ることができるのですね。放送大学のHPでの自由視聴、僕は、この九月いっぱいで終了かと思いこんでいましたが、いえいえ、まだ生きています(笑)。このブログの常連の読者には、何度もPRしてきたので、「またか」でしょうが(笑)、見逃してこられたかたは、どうぞこちらでお付き合いください。なんといっても、ラストの20分が吉増さんタイムです。ぜひ。

 https://vod.ouj.ac.jp/view/ouj/#/navi/player?co=7028&ct=V&ca=823

 その吉増さんですが、先日、西荻窪にある数寄和ギャラリーで、吉原洋一さんが撮影した吉増さんの肖像写真展が開かれていました。毎月22日に吉増さんを撮影する、というコンセプトで(2月22日がお誕生日なのです)、遠くはアメリカまで追っかけての撮影だったとか。このシリーズがとても佳いのですね。ギャラリーで鑑賞していて、なかのひとつを購入いたしました。箱根の強羅で撮ったものです。さあそれを、リビングに掛けてみました。(鈴木華邨のちょうど向かい側です。)ご覧ください。画像をクリックすると、ぐんと大きくなります。

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 いかがでしょうか。吉増さんのとても柔らかく、穏やかな表情が、わが家を見守ってくださる、という感じです。

 ちなみに紹介しますと、写真の向かって左に掛けた二枚ですが、上は加納光於さんの版画作品、下は石川九楊さんが、万葉集の歌を書いた書作品です。どれも気に入っております。

 お別れの引用句、若い元気のいい言葉で締めましょう。

「そのときだ

 丸太であたまをいきおいよく殴りつけろ

 卍にくずおれたっていい

 更地を奏でる おと 聞いて

 ひきあてる

 とおりすがりの 爆笑 天使 とも言えようか
 腸と石と姫 ひとつになる
 ヒズミが
 脇下から血が噴き上がり
 どんどと
 火山。」

                    (田中 さとみ     「ひとりごとの翁」)

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