菱田春草展、流石です+追悼ジャック・ブルース
もののねの 秋はひときは 猫の鈴 (高橋 睦郎)
秋を象徴する「物の音」として睦郎さんが挙げるのが、飼い猫の頸に付けられた鈴の音です。澄んだ空気のなかでチリンチリンと乾いた音を鳴らして、猫が動き回るのですね。上品な佳い句ではないでしょうか。
猫といえば、重要文化財である、「黒き猫」で知られる菱田春草(1874~1911)の大規模な回顧展が竹橋の国立東京近代美術館で開催中です。招待券を頂戴したのでありがたく、鑑賞にまかりこしました。20時まで開館の金曜日の夜に訪ねたのですが、会場は大勢の観客です。人気作の前には黒山の人だかり。じっくりとフロアを回りました。
いや、魅力的ですね。こんなときにはバカの一つ覚えのように繰り返してますが、「デュシャンさん、あなたがコケにした〈網膜〉絵画も捨てたものじゃないですよ」です(笑)。では以下に、その「黒き猫」、そして「賢首菩薩」、さらには当時は「朦朧体」と称され非難ごうごうだったという「菊慈童」、それら3点を紹介しましょう。
いかにも古典的な日本画の画材を描いても、春草のタッチにはどこかモダンな感覚があります。年譜によると、インドとかヨーロッパなどにかなりの長い期間遊学していますね。今回の展示に合わせた作品解析では、洋画用の絵の具も用いていたとか。それにちょうど近代化の波が高揚した時代でした。超モダンな日本画、生まれたのも必然でしょう。「月四題のうち春」(1910年)と「月下狐」(1899年)をどうぞ。
なんといっても今回いちばん感銘を深く受けたのは、あの「落葉」連作でした。とりわけ、枯れた広い葉っぱが群がり枝に集まっている、そのパートの造形はまったくの現代美術です。ずっと眺め続けていました。数点の連作が出てましたが、「未完」もまた素晴らしいものです。
話題はガラリと変わります。27日付の朝日新聞には、赤瀬川原平さんの訃報が出ています。26日に亡くなりました。77歳でした。現代美術家で小説家の赤瀬川さん、ずっと闘病中であるとは、三人で活動していたライカ同盟の写真家・高梨豊さんとおなじみ秋山祐徳太子さんからうかがってはいました。赤瀬川さんとは、小生の昔に勤務した東横女子短大での公開講座に講師としてお招きした際や、ライカ同盟、それに高梨さんの新宿での個展の際にお目にかかっていました。朝日の訃報記事を切り抜きながら、「ああ、いつもこの笑顔だったな」と思い出します。合掌。
その記事の下には、「ジャック・ブルースさん」とあって黒い傍線が引かれた記事も。そう、ロックの世界で、1966年にクリームを結成して、大きな足跡を刻んだベーシストのジャック・ブルースが25日に亡くなったのですね。享年71です。このニュースは、26日のNHKのBSでも流れました。「ギターのエリック・クラプトン、ドラムのジンジャー・ベイカーとともにクリームを結成し、「サンシャイン・オブ・ユア・ラブ」などをヒットさせました」と女性アナウンサーが読み上げる原稿を聴きながら、「ああ、とうとう」という思いがありました。ずっと肝臓を患っているという噂は知っていましたので。
高校時代にラジオから流れる「サンシャイン・オブ・ユア・ラブ」と「ホワイトルーム」を聴いて以来、まあロックに目覚めたということになります。学生時代のバンドではギターをコピーしました。そして三年前に結成したいまのバンドでも、まずレパートリーとしたのはこの2曲です。いま小生はベース&ヴォーカルですから、まさにジャック・ブルースこそがわが師匠。うーん、感慨の深いものがあります。
これをご覧ください。拙宅にあるジャック・ブルースのCDです。ソロになってからのもだいたいフォローしていました。特に50歳のバースディを記念した2枚組のライヴ「シティーズ・オブ・ザ・ハート」は愛聴しました。そして今年の五月に出た最新ソロアルバム「シルバーレイルズ」も購入して、聴いていました。昨年にロンドンのアビーロードスタジオで録音されたこのCDが遺作となりましたね。録音風景やゲストへのインタビューがDVDになって付録としてありますが、この監督は娘のキーラ・ブルースが務めています。
インタビューに答えるジャックの姿は、老齢を感じさせますが、音楽の中身はなかなかのもの。「DRONE」という楽曲では、ドラムスとベースだけの変拍子の演奏で歌ってますし、「KEEP IT DOWN」はノリの良いロックです。元ホワイトスネイクのバーニー・マースデンのギターが渋くよく歌っています。ともあれ、最後まで現役を貫きましたね。
さて、前からお伝えをしていますように、来月8日(土)には、小生の勤務する恵泉女学園大学の学園祭の野外ステージにて、われわれのバンドがライヴを行いますが、ゲストに野呂一生氏を迎えてのレパートリーは、まさにジャック・ブルースの作曲した例のクリームの2曲です。本番の舞台では、追悼ジャック・ブルースの思いでこれを演奏いたしましょう。野呂一生氏のギターが、ずいぶんと華やかなサウンドに仕立ててくれることでしょう。
では、今夜の引用句は、言葉ではなく、われわれの以前のこの楽曲の演奏、とさせてください。2011年の11月に、北沢タウンホールのステージで披露したヴァージョンです。
http://www.youtube.com/watch?v=xphcKfXmlcM
どうぞお聴きください。











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