ノーベル文学賞が決定です+ダダ・シュルレアリスム研究会のお知らせ

 海がくれ なほ沈む日や 秋のこゑ     (三橋 敏雄)  「海がくれ」は「海が暮れ」でしょう。え?「海隠れ」という解もありかな、いややっぱりそれは変ですね。三橋さん、昭和10年以来新興俳句運動に参加して、近代俳句のアヴァンギャルドとして活躍されましたが、職業は帆船練習船の事務長を長年務めます。つまり「海の男」だったわけです…
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久万美術館の森堯茂展がオープンです+GOZO・CINEの新作「鏡花フィルム」

 秋刀魚焼く 烟(けむり)の雨となりにけり   (久保田 万太郎)  隣家では昼食の食卓に供する秋刀魚を焼いています。煙突?からその煙がうっすらと立ち昇ります。と、折からの雨。ひんやりとした秋の空気までが伝わってくる、万太郎句のシブイ佳作と言えるでしょう。今日の東京は、小雨が降ったり止んだり、ちょうどこの句のような静かな秋の休…
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工藤幸雄詩集『不良少年』の反響+豊田市美のψ(プサイ)の亡霊

 次々に 薔薇は咲きつぎ 秋に入る   (長谷川 櫂)  句集『初雁』から。ニュージーランドの薔薇園での連作の一句。薔薇は本来は夏の季語ですが、こういう使用法もありました。昨今の空模様、雲が多い毎日ですが、「秋に入る」というのが実感されます。今日も半袖では肌寒いほど。  堀江敏幸氏の新しいエッセイ集『アイロンと朝の詩人』…
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都写美の鈴木理策写真展「熊野・雪・桜」+田邊元・唐木順三往復書簡

 曼珠沙華咲いて ここがわたしの寝るところ   (種田 山頭火)  秋の彼岸の頃に真っ赤な花を咲かせるので彼岸花の異名もあります。先日来、わが家の近くを流れる仙川の小さな流れに沿って今年もこの花が咲いています。さて自由律俳句の山頭火、放浪の俳人としても知られます。いちおう住む庵はあっても托鉢に出てそのまま野宿なんてことはしょっ…
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「現代思想」臨時増刊「ドキュメンタリー」特集とGOZO-CINE+田邊元のマラルメ論

 十ばかり 叩きてやめぬ 鉦叩(かねたたき)   (三好 達治)  詩人の三好達治の俳句は、いずれも作意が明快で、よってどれもモダンな印象です。鉦叩はコオロギ科の虫で、チンチンと鳴きます。叩きがねを叩く音に似るのでこの名が付きました。この句、眼目は「(叩きて)やめぬ」でしょう。10回ほど鳴いてみて、そこで「やめた」わけです。(…
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舞踏系ダンスコンビ室伏鴻×黒田育世、拍手喝采!+映画「長江哀歌」、ブラボーです。

 口紅の 玉虫いろに 残暑かな    (飯田 蛇笏)  あの蛇笏さんがこんな鋭い色彩感覚の句を詠んでいたとは意外です。「玉虫色」と言っても「玉虫色の結論」とかいう場合の意味ではありません。文字通り、タマムシの羽がそうであるような金緑色や金紫色をした口紅をさした女人と、残暑の一日に出会った、というのでしょう。その重たく輝く色あい…
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千葉市美の若冲展の池大雅+川端康成ゴシップ話

 子規忌とも 父に告げなく かしづきぬ    (芝 不器男)  9月19日は俳人の正岡子規が明治35年に亡くなった際の祥月命日。よって子規忌(糸瓜忌など他の呼称も)とはこの日です。子規を慕う大勢の弟子や孫弟子らがこれを季語として追悼の想いを句に詠みました。さてこの不器男の句、解釈がちと難しいかな。夏の気配がようやく引いたこの日…
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美術家・蔡國強と振付家・Ph・ドゥクフレ+故佐藤真監督追記

   書(しょ)に倦むや 蜩(ひぐらし)鳴きて飯遅し   (正岡 子規)  前回と同様、晩夏の象徴であるヒグラシゼミを詠んだ句です。根岸の子規庵の周辺でも当時はまだ木々が多くて蜩の声はよく聞こえたでしょう。結核性カリエスで寝たきりの子規、寝床で読書に耽っていましたが、もう本は読み飽きました。時刻は夕方、蝉ならぬ、お腹のムシがそろ…
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宮澤賢治講義の準備+映画監督佐藤真氏の死

 蜩(ひぐらし)といふ名の裏山を いつも持つ   (安東 次男)  安次(あんつぐ)さんの第一句集『裏山』の代表句です。岡山県は津山市の旧家に育った安次少年には、屋敷の裏の里山こそは親しい遊び場であり、長じてはその裏山が心のなかのユートピアだったでしょう。夏の終り、裏山からは哀切な響きで鳴くヒグラシゼミの声が聴こえていました。…
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トヨダ・ヒトシ「スプーンフル・リヴァー」上映会+上野のお山の「金比羅」と「五山禅」展

 夏痩(なつやせ)や とる筆さへも 仮名まじり   (井上 井月)  前回に引き続き今日も信州は伊那谷の「乞食井月」に登場願いました。暦は九月に替わってやっと猛暑も退散してくれたようです。わが家の周囲では蝉たちが力ない声で夏のおしまいの合唱です。こんな時は誰しも厳しかった夏の暑さを振り返り「夏バテ」感を反芻?するのでは。井月の…
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久万美術館の森堯茂・彫刻展のご案内

 よき水に 豆腐切り込む 暑さかな    (井上 井月)  井月は「せいげつ」と読みます。井戸に映る月影、という風雅な命名。さて、処暑を過ぎて9月も近いというのにこの残暑ですから、この夏らしい句を引いてみました。良い句ですね。きれいな水に沈む豆腐の白さが、夏の暑さを象徴します。この「暑さ」にはどことなく気品がありますよ。しかし…
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8月のNHKは反戦チャンネルです+トヨタISTのCM音楽はK・クリムゾン「イージーマネー」

 百日紅(さるすべり) ごくごく水を呑むばかり   (石田 波郷)  連日の酷暑です。日中は冷房をかけていても脳味噌が緩くなってきます。そんな時思い出すのは波郷のこの句。俳人本人による明快な注釈を引きましょう。「盛夏、人も犬も鼠も暑熱にあえぎ渇するころ、とびつくやうに水をとつて咽喉あらあらしくごくごくと水を呑む折、ふと眼中にう…
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吉増さんGOZO-CINEの舞台「通天閣」訪問+サッカーJリーグ観戦記

 蝶の舌 ゼンマイに似る 暑さかな      (芥川 龍之介)  暦のうえでは残暑ですが、このところの暑さは酷暑・猛暑です。こんな時には芥川のこの有名な句が一真理(?)を啓示するようです。つまり蝶の舌はぐるぐる巻きの形状なので、それを金属のあのゼンマイに看立てるという感覚的アクロバットがなにやら正しいと錯覚されることを言います…
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アンリ・ミショー展に行きました+旧「麒麟」同窓会

 蓋(ふた)あけし 如く極暑の 来りけり     (星野 立子)  本格的な真夏到来という昨日今日です。まさにこの感じをこの句は謳います。「地獄の釜の蓋があく」とは、盆と正月は地獄の閻魔さまも仕事を休むから罪人も釜茹でから解放され休息できる、という意味ですが、ちょっとそんな慣用句が連想されるかもしれません。要するに釜茹でになっ…
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サシャ・ヴァルツ「ケルパー」公演+大岡信『精選 折々のうた』

 泉への 道後(おく)れゆく 安けさよ    (石田 波郷)  句の作者波郷は肺結核を病んでいたため、肺活量は1500ccしかなく、ゆっくりした歩行を余儀なくされたそうです。これは親友の軽井沢の森の別荘へ向かう途中の詠作。つい歩みは遅れ勝ちになりますが、前を信頼する友が歩くので心安かったでしょう。「自解」によると、「この句、そ…
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三島由紀夫『春の雪』映画版やっと観ました+内田百閒のラヴレター

 がてんゆく 暑さとなりぬ きうりもみ   (久保田 万太郎)  さあ梅雨明け、今日あたり関東地方にもこの朗報がもたらされるでしょうか。梅雨が明けた、となると、まさに「がてんゆく暑さ」ですね。こんな折の晩酌には、胡瓜もみなどが酒の肴にはもってこい。万太郎、本業は劇作家で「俳句は余技」とつねに語りました。優れた劇作家たるには、人…
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東工大では吉増剛造さんのCINEの上映会。

   夏山や 又大川に めぐりあふ     (飯田 蛇笏)  今日の東京、ほんとに久しぶりのお日さまの光。午後は真夏を感じさせる暑さでした。さあこの蛇笏の句も、真夏の山を健康な汗をかきつつ散策している、という場面です。すると山懐の深い地形なのに意外と大きな川の流れが木々のあいだを流れるのに出会います。この川、さきほどいったん別れ…
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満員御礼!ヘンリー・ダーガー展+横浜では森村泰昌展、幕開けです。

 宵山の 京にて京を 忘れけり    (松本 邦吉)  現代詩人の松本さん、このところはすっかり新進気鋭の伝統型俳人です。さて昨日7月16日の京都は祇園祭の「宵山(よいやま)」。翌日の山鉾巡行を前に、京の街は独特の華やぎを示します。祇園囃子が終夜流れ、通りには鉾が提灯を連ねて停まり明日の巡行に備えるのです。僕は一度だけ体験しました…
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横須賀美術館ではヤノベケンジ!+「與門会」では山口昌男氏と大岡信氏

 朝ぼらけ 水隠(みかく)る蛍 飛びにけり   (芝 不器男)  朝靄のなかにしらじらと夜が明けようとするころ、川べりを低く蛍がぼおっと光りながら飛んで行きます。ちょうど梅雨前後の季節には、不器男の故郷である四国の山の村(愛媛県松丸)で眺められた光景でしょう。不器男の句の舞台はほとんどがこの村。大正末から昭和初期にかけての日本の鄙…
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松涛では大辻清司展+狩野志歩さんのヴィデオアート作品

 乾坤(けんこん)の たねを蔵して あばれ梅雨    (安東 次男)  九州地方、まさに暴れ梅雨の影響甚大のようです。さてこの句、「平成五年七月三日早曉豪雨、楸邨逝く」と詞書にあります。アンツグさんの俳句の師匠、加藤楸邨を追悼した作です。解釈はちょっと難しい。乾坤は天地の意味ですが、「乾坤のたね」は明らかに芭蕉の言葉「乾坤の変…
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