林浩平の《饒舌三昧》

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zoom RSS 石川九楊「書だ!」展、観ました+朝吹亮二さん、『密室論』初朗読に挑戦

<<   作成日時 : 2017/07/29 02:23   >>

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 人呼びて 夏深むこゑ 山鴉     (飯田 蛇笏)

 蛇笏の暮らした甲斐の国のこの季節のドキュメントでしょう。八月も近い山国の空気感まで伝わるようです。

 さて、書家の石川九楊さんの回顧展「書だ!」、上野の森美術館で、ちょうど今日7月30日までの開催ですね。ご招待いただき、鑑賞に行ってきました。

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 1944年生まれの九楊さん、5歳から書道塾に通ったとか。京都大学時代から学生書壇のメンバーとして活動をしていたそうです。展示をじっくり鑑賞しました。図録から主な出展作を紹介しましょう。

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 回顧展ですから、かなり初期の作品もあります。これは、1975年の「言葉は雨のように降りそそいだ―私訳イエス伝」、当時は社会全体が高揚した時代でした。このタッチの迫力は、時代の証言です。

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 九楊さんは当時、でしょう、「今はこれが書だ―と静かに言い切ろう。その傲慢と危うさを認めたうえで、なお」という言葉を残していますね。しかし、90年代に入ると、日本の古典を題材にして書き出します。二階の展示フロアに上がると、そこは『源氏物語』の全巻54帖がズラリと控えており、これは圧巻でした。ご覧ください。

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 順に、「桐壺」、「帚木」、「葵」そして「胡蝶」の巻を主題とした作です。さらには、吉増剛造さんの詩や著作の言葉を書いたのもありましたが、紹介するのは、その折口信夫論である『生涯は夢の中径』です。それから、ドストエフスキーにも挑戦していますね。『カラマーゾフの兄弟』。

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九楊さんは、書家としてのお仕事の他、この社会や文明のありかたに対して苛烈な批評精神で舌鋒鋭い評論活動も行っています。そうした社会批評のご自身の言葉も、書の素材とするわけです。最後にご紹介するのは、「二〇一一年三月十一日雪―お台場原発爆発事件」というタイトルの、原発批判の文章です。「原発は永久にこれを廃棄する」という格調高い文言がそこには読まれます。

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 話題は変わって、先週の22日でした、三軒茶屋の某所では、詩人の朝吹亮二さんが1989年に七月堂から刊行された詩集『密室論』の新装版の誕生を記念しての朗読イベントが行われる、というので、1982〜86年まで一緒に詩誌「麒麟」の同人だった僕としてもここは激励を兼ねて、その朗読を聴きに参上してきました。同人仲間の吉田文憲さんと松本邦吉さん、それに「麒麟」の集まりにはほとんど付き合ってくれた仏文学の兼子正勝さんもお誘いします。

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 このイベント、というか、新装版の刊行のアイデア自体、朝吹さんと交流のある若い詩人の榎本櫻湖さんの牽引によるものだそうで、それで櫻湖さんのトークライブ「サクラコの部屋」での朗読会となったそうです。新装版の装丁を担当した金澤一志さんも加わってのトークから始まりました。

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 旧版を示しながらの解説がありましたが、確かに黒のボックスに入った格好の旧版、「読まれることを拒否する」という構えがあったようです。新装版は打って変わって、うんとカジュアルでオープンです。ご覧ください。ついでに会場の様子も。松本邦吉さんもパチリです。

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 いよいよ朗読のスタートです。朝吹さん、自作詩の朗読は固辞されてきましたので、初体験?の朗読への挑戦です。注目しましょう(笑)。しかし、朝吹さんの詩のスタイル、いやあ朗読向きじゃないでしょうか。韻律性も生かされた言葉の流れですよ。次々と言葉が湧き出すようで。そして櫻湖さんも引き継いで、朝吹さんの詩を朗読しましたが、これまた結構でしたね。

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 盛り上がりました。サクラコさん、ありがとう、です。さて会場で、詩人の田野倉康一さんとの2Sです。この画像は、田野倉さんのfacebookから頂戴しました。

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では、お別れの引用句、『密室論』からです。ショートヴァージョンで勘弁ください。

「秋の日の午後ヒトの輪郭ににた波形がはじまり汗や木の葉を撒き散らせあしばやにかけぬけてゆく」
                             (朝吹 亮二    『密室論』)

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