林浩平の《饒舌三昧》

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zoom RSS 瀧口修造の墓に参りました+オープンした富山県美術館、面白いです

<<   作成日時 : 2017/09/07 02:09   >>

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 西瓜より 大きく描きぬ 西瓜の絵    (小澤 實)

 ときにはこんなユーモア句もいいでしょう。詞書には「武者小路実篤展」とあるので、句意は明快です。小澤氏は骨董趣味もあって、なかなかの目利きとか。詩人の吉岡實さんとは、連れ立って青山の骨董通りの店を歩いたそうです、まだ若いころ。

 さて前回の続きです。この前に富山を訪ねたのは、富山近美で「瀧口修造の造形的実験」展が開かれた2001年の7月でした。そう、僕はその直前には初めて祇園祭の宵山を見学していますね。京都から帰り、即富山でした。その際には、知友たちでレンタカーを借りて(林道郎さんの運転でした)、郊外の寒江村の瀧口の墓に参ったのでした。それ以来の墓参です。今回は、近美がなくなり新しくオープンした富山県美術館の副館長の杉野秀樹さんがマイカーで案内くださいます。

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曹洞宗の龍江寺、この寺の創設には瀧口家の祖先が関わった、とは、瀧口の自筆年譜にありますが、さて門は以前のままながら、なんと本堂がなくなっています。建物を壊して跡地を墓地にしてますね。住職に世代交代があったためらしいですが、しかしなんとも殺伐とした風景。二枚目の風景画像の向こうに見えるのが、瀧口も通った寒江小学校のよし。手前には、古い瀧口家の墓標が建ちます。瀧口の父君の四郎が建てた一家累代の墓ですね。さあ、瀧口本人の墓に行きましょう。

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 まず後ろをご覧ください。墓石に、例のデュシャンから贈られたRrose Selavyの文字が刻まれています。そう、最初にここにお参りをしたのは、もう30年ほど昔でした。最初に富山を訪問して、当時近美の学芸員だった島敦彦さんに案内いただき、彼の車で訪ねたのです。島さんが気をきかせて、赤い薔薇の花を一本だけ持参され、それをこの墓石に供えたのが印象的でした。その島さん、この春からはお隣の金沢21世紀美術館の館長になられたよし、まあ時は巡ります。(当時富山近美を訪ねる東京からのひとたちは、ほとんどが鈴木忠志さんの利賀山の演劇祭を観たあとだったそうですが、僕は羽咋(はくい)の折口信夫の墓に参ってからこちらに来たのでした。島さん、「折口の墓にお参りして瀧口の墓参り、というコースは林さんが初めてですね」と驚いていましたね。はは、ともに僕には大事な存在です。)

 この日はちょうど、地元で瀧口の生い立ちなどを研究されている萩野恭一さんが、僕がお参りするのを知って、お墓に供え物をたくさん用意されていました。促されるまま、オリーブの枝を墓前に供えて合掌です。いまは奥さまの綾子さんと一緒にここに眠っています。一枚、墓前で記念写真を撮っていただきました。

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 その後は、杉野さん運転の車で、市内の中心部に引き返し、つい一週間前に全面オープンとなった富山県美術館、愛称はTADですね、そこを訪ねました。JR富山駅のすぐ北、隣に神通川が流れています。近づくと、おやおや美術館の駐車場は満車状態です。よく晴れた日曜の午前、いくらオープンして一週間目で評判になっているから、とはいえ、こんな盛況ぶりは、地方都市の美術館、にわかには信じられないくらいです。ははーん、しかし実際に館内を見学して、この「人気の秘密」がわかる気がしました。

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 建築家の内藤廣さん設計による館は、とにかく開放的です。透明な壁を多用しているせいで、見通しがよく、空間全体がのびのびしています。キッズルームやアトリエがあるので、子どもたちも参加型の施設で遊んでいます。開館記念展として、「生命と美の物語 LIFE――楽園をもとめて」展が開催されてますが、この企画も多方面にアピールできそうですね。しかししかし、なんといっても集客の目玉はこれ、でしょう。四階が屋上になっていて、そこは「オノマトペの屋上」と称されています。デザイナーの佐藤卓さんのコンセプトによる、アート的でかつ親しみやすい玩具がいくつも設置されているのです。下は芝生です。これは子どもたち、大喜びですね。「ふわふわ」とか「HISOHISO」とか、オノマトペが遊具の名前として付いています。

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 嬉しいことには、三階フロアの一室に、瀧口修造コレクションの展示室が設けられてますね。富山出身の国際的な知名度を持つ美術評論家でもあった瀧口のための部屋が設けられているのは、当然のこととはいえ、美術館の見識を表わしています。このブースだけは、照明を落として、各棚には瀧口所蔵のオブジェなどが陳列されています。

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 お別れの引用句、今日も瀧口の諺を引いてみます。下ネタ系ですが、このイメージはまたどこか禅的でもあります。そして笑えますよ。

「天に一物あり」
               (瀧口 修造     「自在諺」)

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毎回毎回(仕事を兼ねた)ご旅行で羨ましい!の一言。なんだか結構私の琴線に触れるので羨ましい!。富山県美も高志の国文学館も
訪ねようと思ってはいるのですが・・。(少し前には、山口の友人など天声人語でみて即家持展を見に文学館に行ってきたという便り)。
富山には友人の最期の舞台になった「富山能楽堂」での語りに行ったときに、(また来ればいいなんて思って)近美によれなくて心残りです。大分県美もリニューアルオープンしたようですしねー。
あけみ・る
2017/09/19 16:59

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