林浩平の《饒舌三昧》

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zoom RSS 庭園美術館ではブラジル先住民の椅子展、愉快+吉増剛造さん、NHK「こころの時代」出演です

<<   作成日時 : 2018/07/10 01:54   >>

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 蝉の合唱 神々は木に怠くつす     (安東 次男)

 「怠くつ」とは退屈をこう表記したのでしょう。梅雨が明けて、さあ蝉の合唱が、となる季節なのに、ここ数年は蝉声が稀になりました。今年はわが家の近所も、多摩地方一帯も、蝉をまったく聴きません。どうなったのでしょう。それに今回の大豪雨。神々は退屈してる場合じゃないでしょう(笑)。この句、昭和22年の俳誌「寒雷」に掲載されました。加藤楸邨が主宰したこの結社、つい先日、解散したとか。70年近くの長い歴史に終止符です。

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 庭園美術館では現在、「ブラジル先住民の椅子・野生動物と想像力」展を開催しています。このポスターを観て、お、これは絶対に行かなきゃ、でした。野生動物のフィギュアが好き、ということもありますが(笑)、ブラジル先住民の作る工芸作品、それは一昨年にやはりここ庭園美術館であったマスク展に出展されたアフリカの諸民族の仮面のように、呪術的オーラを発するのが魅力なのですね。晩年のアンドレ・ブルトンがアフリカの仮面や人形を収集し、マックス・エルンストがアメリカインディアン(「ネイティヴ・アメリカン」ではなく彼らは自らを誇りをもって「インディアン」と呼びます)の人形のカチーナドールを愛好しました。よくわかります(笑)。

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エントランスには巨大なサルが。そしてハチドリ、ジャガー、ネズミと続きますが、これらはみんな椅子なのです。(全館撮影が自由、というのは嬉しいですね。こうこなくっちゃ(笑)。)どうして椅子なのか。ラテンアメリカでは、すでに4000年前から椅子の使用の痕跡があったというのですが、要するに椅子は、共同体の高位の構成員である長老やシャーマンの占有する物。ブラジルではこうした椅子は、主に、中部から北部にかけて、中部のマトグロッソ州のシング―国立公園やシング―川の流域に住む先住民のいくつもの部族が作っているそうです。

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 こうした幾何学模様の椅子もあります。しかし中心はなんといっても動物のフィギュアです。解説によると、シャーマンは精霊からのメッセージを媒介する際に椅子に腰かけるわけですが、鳥類は異世界に近い存在とされるため、椅子の形象としてよく登場するそうです。ご覧ください。

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 順に、ワシ、双頭のオウギワシ、それから魚のエイ、そしてサルとホウカンチョウですね。ブラジルの北中部というと、海岸からは遠いのに、どうしてエイが登場するのかはよくわかりません。さらにこんな動物も出てきます。

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 順に、ワニとコウモリとオウギワシです。今回出品されたものはみんなBEIコレクションの所蔵のよし。まあブラジル大使館が全面的にバックアップですね。また、展示の空間構成を、建築家の伊東豊雄さんが手掛けられているのも面白いです。
 
 さて、本館から新館に移りましょう。こちらの広いギャラリーにもかなりの数の作品が並びますが、こちらには現代の作家のものが多いですね。本館のは、ほとんどが作者未詳で、それなりに年季の入ったものが多かったです。

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 ジャガーやカメやアリクイたちですが、現代の作家のものは、どこかユーモラスなタッチのが目立ちます。かわいいキャラもいましたよ(笑)。

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 会期は9月17日まで。どうぞお運びください。

 出口のところで、パチリと撮ってもらって、裏にある日本庭園、池をめぐる回遊式ですが、そこを散策して、改修された立派な茶室「光華」も見学しました。

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 話題はガラリと変わります。詩人の吉増剛造さん、さあ展覧会「涯テノ詩聲」の沖縄展が終了して、いよいよ東京は渋谷の松濤美術館に巡回してきますよ。8月11日からです。ぜひお越しください。その吉増さん、NHKのETV「こころの時代〜宗教・人生」に出演されました。一回目の放送、というか本放送ですが、それが8日(日)の午前5時にありました。60分の番組です。僕は録画して、ゆっくりと鑑賞しました。6月に収録してすぐのオンエアです。いや、これは素晴らしい!

 再放送が、今月14日(土)の13時からあります。どうぞこちらを御覧ください。わが家のリビングでの録画再生をデジカメで撮ってました。いくつかのシーンを紹介しましょう。それだけでも名番組なのがわかります(笑)。

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 副題が「詩の傍(そば)で」となっていました。オープニングで詩人吉増剛造が紹介されます。ゆったりしたテンポの音響のなか、これまでの活動と「怪物君」の制作に励む姿が映し出されていきますが、この間合いがとても佳かったな。ちゃんと吉増さんの世界に共鳴した演出です。演出家は、NHKきっての硬派ディレクターの聞こえのある(笑)、西世賢寿さん。これまでも「大菩薩峠」などの力作ドキュメントを演出していますが、西世さんとは旧知の僕が吉増さんをご紹介するという恰好で、4月16日に吉増さんのお宅に近いイタリアンのお店ポンテ・チェントロで打ち合わせ会を持ったのがスタートでした。

 番組は、西世さんが「ききて」として登場、吉増さんに真正面からの問いかけを始めて進行します。

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 この真摯な問いかけから、吉増さんの思考の深いところからの答えの言葉が導かれた、と言っていいでしょう。まあ内容面は、ご覧になってのおたのしみ、とさせてください(笑)。

 東日本大震災の被災地である浪江町を歩く吉増さんの姿もあります。

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 どうぞおたのしみに。

 お別れの引用句は、吉増さんの新作の詩篇からです。

「そうして、……
 とうとう間に合った、……
 玉の緒の縫針の心に」
                       (吉増 剛造     「火ノ刺繍ーー永遠の旅人Afanassievに」)









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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
久方ぶりにコメントしますね。

再放送を見逃してしまいました。
何回か再放送されるでしょうから、案内に登録しないといけませんね。

ところでエイのことですが、アマゾンには淡水エイが生息していますよ。
熊鷹
2018/07/21 23:48
お久しぶりです、「熊鷹」さん、コメントをありがとうございます。おや、吉増さんの「こころの時代」、見逃されてしまいましたか。再々放送もあるでしょうが、よろしければ、DVDにダビングしてお届けしますよ。ご遠慮なく(笑)。
 そして、ここはさすが博識の熊鷹さん、そうか、淡水エイ、というのがいるのですね。きっとそれなのでしょう。ちょっと「虚を突かれた」思いです(笑)。
ミニヨン
2018/07/22 01:35

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